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Googleの検索結果上位は「Googleが所有するウェブサイト」に占められているとの指摘


Google検索は世界中で広く使われており、アメリカ全体で行われる検索のうち90%近くがGoogle検索を使ったものだともいわれています。そんなGoogle検索について、テクノロジー関連の問題を調査する非営利のニュースサイト・The Markupが行った分析により、「Google検索結果の上位は『Googleが所有するウェブサイト』によって占められている」ことが判明しました。

Google’s Top Search Result? Surprise! It’s Google – The Markup
https://themarkup.org/google-the-giant/2020/07/28/google-search-results-prioritize-google-products-over-competitors


Googleの共同創業者であるラリー・ペイジ氏はGoogle検索について、「私たちはあなたをできるだけ早くGoogleから脱出させ、適切な場所に移動させたいと考えています」と2004年に述べました。つまり、検索エンジンは検索ワードに対して適切な答えとなるウェブサイトのリンクを表示し、検索エンジンそのものから早く適切なウェブサイトへ誘導することが重要だとペイジ氏は考えていたわけです。

しかし、近年のGoogle検索結果はGoogleが所有するウェブサイトやGoogleが提供するナレッジグラフに占められており、Googleは自身の提供するコンテンツがユーザーにとっての「適切な場所」だと考えているとMarkupは指摘。

実際にMarkupが直近の人気クエリ1万5000件について調査したところ、iPhoneなどのモバイルデバイスの検索で最初に表示されるページのうち、実に41%がGoogleの所有するウェブサイトまたはナレッジグラフであることが判明。検索ボタンを押した直後に表示されるページ範囲に限定し、かつスクロールをしなかった場合は、62.6%がGoogle関連のもので占められていました。Markupが用いたサンプルクエリのうち5回に1回は、遷移直後のスクリーン上に表示される範囲に、Google以外のウェブサイトに飛ぶリンクが1つも存在しなかったそうです。

たとえば、iPhone Xで「myocardial infarction(心筋梗塞)」というワードでGoogle検索した場合の検索結果画面はこんな感じ。まず最初にGoogleが提供する辞書的な定義がパネルで表示され、その下にはやはりGoogleが提供する関連検索機能の「PEOPLE ALSO ASK」が表示されています。


さらにその下にはGoogleが提供するナレッジグラフがあり……


「related conditions」パネルで他の病気についての検索がオススメされてから、ようやくGoogleと関係のないウェブサイトへのリンクが表示されていました。ユーザーがGoogle以外のウェブサイトへのリンクにたどり着くまでには、ページ全体のおよそ42%をスクロールしなければならなかったとのこと。


以下の画像を見ると、「Linux」というワードで検索した際に表示される画面が、2000年と2020年でどれほど変わっているのかがよくわかります。


Googleは「ユーザーを速やかにGoogleから脱出させ、検索ワードと関連したウェブサイトに誘導する」という方針を変え、できるだけGoogle関連のウェブサイトに留めようとしているとMarkupは指摘。「オーガニック検索から一般のウェブサイトへのトラフィックが大幅に減少している」との指摘もあり、広告枠の増加がこの問題に拍車をかけているともいわれています。

Google検索の広告枠増加でオーガニック検索のトラフィックが減少している - GIGAZINE


競合するウェブサイトへのリンクの前に自社のリンクを優先的に表示するGoogleの戦略には、多くの業界やウェブサイトから批判が寄せられています。旅行調査会社のSkiftは2019年11月、「Googleが検索エンジンの有意性を利用して、旅行分野の競合他社から市場シェアを奪う事実は、もはや議論の余地さえありません」と自社のウェブサイトに記し、オンライン旅行業界全体が苦しんでいると主張しました。

旅行関連のウェブサイトはGoogle検索結果画面におけるGoogle優遇の措置により、大きなダメージを受けている業界の一つです。格安の航空券を見つけられるサービスの「Googleフライト」は、航空券を探すワードを入力したユーザーのGoogle検索結果画面に表示されるため、他の旅行関連ウェブサイトへの流入を阻害しているとのこと。

その一方で、大手のオンライン予約サイトであるエクスペディアブッキングドットコムはGoogleに広告料を支払い、検索結果画面に広告を表示させています。このように、Googleと競合する旅行関連ウェブサイトは単なる競合相手ではなく、Googleの顧客であるケースもあるとMarkupは指摘しました。


Google社内では、自社のウェブサイトやサービスを検索結果画面で強調する決定について議論が行われていたそうです。独占禁止法の調査に関連して欧州委員会が入手したGoogleの社内メールでは、検索結果画面に自社製品を表示することで、トラフィックが2倍以上に増えた事例などが紹介されていたとのこと。

一方で、Googleの広報担当者であるLara Levin氏は、Google検索結果の画面はGoogle関連のウェブサイトを優先するようにデザインされていないと主張。表示されるコンテンツは全てユーザーの利益に基づいて選択され、厳格なテストプロセスで検証されていると述べました。また、Markupの調査方法については「代表的ではない検索のサンプルに基づいたものです」と非難しています。


また、ペイジ氏が2004年に主張した「Google検索画面から速やかにウェブサイトへ移動させる」という方針については、すでに時代が変わったとLevin氏は説明しています。当時は人々を検索結果画面からウェブサイトに導くことが重要だったものの、検索テクノロジーが発達した現代には当てはまらないとLevin氏は述べました。

検索エンジンアナリストのRand Fishkin氏は2019年の調査で、検索結果画面においてユーザーがクリックしたうちの12%が、Googleが所有するウェブサイトに移動するものであることを発見しました。「Googleはユーザーをプラットフォーム上に留めることで、長期的に最大の利益を上げることができます」と、Fishkin氏は指摘しています。

近年ではGoogleの支配を問題視する動きも起こっており、Googleと親会社のAlphabetは独占禁止法に関連する訴訟に直面しています。2017年には、検索結果画面にGoogleが運営する価格検索サービスの「Google ショッピング」を優先的に表示し、他の価格比較サイトに不利益を与えたとして、欧州委員会がAlphabetに対して24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を課しています。

GoogleがEU競争法(独占禁止法)違反で約3000億円の制裁金を科せられる - GIGAZINE


しかし、2019年には41の比較ショッピングサイトが欧州委員会に対して(PDFファイル)書簡を送り、「Googleへの制裁後もウェブサイトへの大幅なトラフィック増加を経験してしない」と主張。Googleは引き続きその支配力を悪用しており、一度傷付けられた業界が完全に回復することはないと訴えました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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