フィードバックで有益な意見を得やすくする「フィードバック・キャンバス」のやり方とは?
チームメンバー間で互いのフィードバックを共有するだけでなく、そのフィードバックがメンバーの期待に添う内容であったかどうかを点数をつけて評価する方法「フィードバック・キャンバス」を、プロダクトエンジニアのデイビッド・スタニート氏が考案しています。
Feedback Canvas. A tool for receiving honest feedback from your team
https://stanete.com/feedback-canvas
スタニート氏によると、フィードバックをより役立つものにするためには「チームのメンバー同士が互いをよく知ること」が重要とのこと。フィードバック・キャンバスも互いをよく理解しあう関係が構築されたチームほど、うまく機能するとスタニート氏は述べています。
フィードバック・キャンバスのやり方は以下の通り。
◆人数
一緒に仕事をしているチームメンバーから5~9人を選び、そのうち1人以上は上司を含めます。また、メンバーから進行役を1人決めておきます。進行役はメンバーにフィードバック・キャンバスをどのように進めるのかを説明し、予定通りにフィードバック・キャンバスが進むよう場を仕切ります。
◆時間
フィードバック・キャンバスの所要時間は参加人数に応じて前後しますが、およそ1~2時間ほど。タイマーや時計などを使って、メンバー全員が時間を把握できるようにしておきます。
◆進め方
ホワイトボードやオンラインボードなどに、メンバーの行いに対する「良い点」「改善すべき点」「具体的な改善行動」の3つの列を作成し、各自が思いついたことをボードに記入します。ボードに記入する際は、以下2つのルールを守ります。
1:「改善すべき点」を提案する場合は「具体的な改善行動」もあわせて提案しなければならない。
2:フィードバックを書く際は一人称を含め、はっきりとした表現にする。
フィードバックが出そろったら、5分ほどで各フィードバックに点数をつけます。点数は1~5の範囲で、3点は「期待通り」、1点は「期待を大きく上回る」、5点は「期待を大きく下回る」という意味で採点する方法をスタニート氏は採用しており、1点や5点がつくことはまれだそうです。採点の際は、誰が何点をつけたか分からないようにするのが望ましいとのこと。総合得点の結果は全員で共有します。
採点することで、自分のフィードバックがメンバーにとって期待通りであったか、期待以上であったか、もしくは期待以下であったのかを確認することができます。
なお、フィードバック・キャンバスの実行中は、ボードに出されたフィードバックに同意および反対をしてはいけません。ただし、フィードバックに対して説明を求めたり、誰がフィードバックを書いたかを尋ねたりすることはできます。
スタニート氏が行うフィードバック・キャンバスでは、最後にメンバー1人1人がボードに書かれた内容を読み上げているそうです。まずは「改善すべき点」と「具体的な改善行動」から自分が提案した意見を声に出して読み、その後、進行役が残りの意見を読み上げます。最後に、自分が書いた「良い点」を読み上げ、それ以外の意見を進行役が読み上げることでフィードバック・キャンバスを終えます。
フィードバック・キャンバス自体は上記の手順で終了ですが、得られたフィードバックを生かすためには、その後の行動も重要です。メンバーから得たフィードバックについて考え、数日後に改めてフィードバック・キャンバスの結果を読むことをスタニート氏は勧めています。また、1人でフィードバックについて考えるのではなく、上司や先輩、友人などに相談し、今後の正しい戦略や行動を考える必要もあります。
フィードバック・キャンバスを行うことで、各メンバーのフィードバックを共有するだけでなく、フィードバックを評価することで有益な意見を抽出し、どのような案や行動が評価されるのかを分析することができます。また、スタニート氏によると、フィードバック・キャンバスは最短でも3カ月後に1回行うのが理想とのこと。また、フィードバック・キャンバスをうまく機能させるために、「誠実で偽りのないフィードバックを提供することが重要である」とスタニート氏は述べています。
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