ポケモンGOの開発元が黒人への人種差別に対するアクションを発表

ポケモンGOの開発元であるNianticが、黒人に対する人種差別の撤廃を訴えるブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動としての取り組みの一環を、公式ブログの中で明かしています。

Taking action – Niantic
https://nianticlabs.com/blog/blacklivesmatter/

アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで起きたジョージ・フロイド氏殺害事件以降、アメリカ全土で「黒人への人種差別」と「警察による残虐な行為」に対する抗議活動が広まっています。

ゲーム業界でもソニーがプレイステーション5(PS5)関連イベントの開催を延期し……

ソニーがPS5のローンチタイトルを初お披露目するイベントの開催を延期、理由は「より重要な声が聞こえるようにするため」 - GIGAZINE

レッド・デッド・リデンプション 2などの人気タイトルを扱うロックスター・ゲームスは、人気タイトルのサーバーを一時的にシャットダウンしました。

GTAシリーズやレッド・デッドシリーズのロックスターがジョージ・フロイド追悼のために人気ゲームサーバーを一時的にシャットダウン - GIGAZINE

黒人に対する人種差別撤廃を訴える抗議活動に対して、Googleの社内スタートアップから始まったNianticも同社が行う取り組みについて明かしています。同社のジョン・ハンケ代表は、「世界中の何十億もの人々を抑圧する体系的な人種差別に反対する前例のないレベルの運動を目撃しています。皆さんの多くや無数黒人の方々と同じように、私はジョージ・フロイド、アーマウド・アーベリー、ブレナ・テイラー、トニー・マクデード、ニーナ・ポップといった人々の殺害事件が起きたことや、それに対処するための正しい言葉・感情・行動を見つけることに苦労しました」と語り、「この機会に組織として立ち上がる必要がある」としました。

さらに、ハンケ氏はポケモンGOなどのプラットフォームを利用し、「持続可能な長期的な変化を実現するにはどうすべきか？」を考え、以下の施策を挙げています。

・ポケモンGOフェスタ2020のチケット販売による収益から最低500万ドル(約5億5000万円)を寄付
ポケモンGOが2020年7月25日(土)と26日に開催を予定しているリアルイベント・ポケモンGOフェスタ2020の入場料収入の半分を、世界をより多様な見方ができるように促すコンテンツ(具体的には黒人をサポートするようなゲームなど)の開発プロジェクトに投資します。残り半分は地域社会の再建を支援するアメリカの非営利団体に寄付されます。

・Marsha P. Johnson Instituteに10万ドル(約1100万円)を寄付し、最大5万ドル(約550万円)の従業員トーナメントを開催
アメリカのゲイ解放運動家・トランスジェンダー活動家でありドラァグクイーンでもあったマーシャ・P・ジョンソン氏の名を冠する市民運動団体のMarsha P. Johnson Instituteに、10万ドルを寄付する理由について、ハンケ氏は「黒人のトランスジェンダーは他よりも高い割合で殺され続けている」と説明しています。Nianticのダイバーシティ＆インクルージョン(D＆I)チームおよびエグゼクティブリーダーシップチームは、Marsha P. Johnson InstituteのBLM運動とLGBT Pride Month運動に敬意を表し、「警察の残虐行為やその他の弾圧システムに対して最も脆弱な人々を支援するために寄付を行うことが正しいことだと信じていると」記しています。

さらに、Nianticは社会の黒人従業員を適切に支援するために、業界とコミュニティの両方における系統的人種差別と社会的不正の両方と戦うための取り組みも発表しています。取り組みとしては以下の6つが挙げられています。

・D＆Iトレーニングプログラムの開発
・教育をより身近なものにすることでテクノロジーの多様化を促す組織であるTreehouseへの取り組みを強化
・ゲームの開発方法を子どもたちに教える非営利団体・Gameheadsとのパートナーシップの拡大
・Niantic従業員がゲームイベントに参加するために年5日間のフレックスデイを付与
・積極的にすべてのコミットメントに対する説明責任をまっとうする
・黒人コミュニティを支持する公的な立場を取り、白人至上主義や人種差別、警察の残虐行為を否定する

さらに、Nianticは従業員がBLM運動について学ぶための機会を創出し、Gameheadsの活動におけるメンターに申し込むことができるようにするともしています。加えて、D＆Iチームは従業員が何かしらの運動などを組織し、社内で参加者やボランティアを募ることができるような機会を設けるともしています。

ハンケ氏は上記の取り組みについて、「これらの取り組みを発表だけで終わらせるわけにはいきません。我々が求める影響がもたらされるようになるには、取り組みをフォローし続け、何年間も努力を重ねる必要があります。その過程で、これらのイニシアチブをさらに深めるためのさらに多くの機会を探していきます」と述べています。