ついに「触覚を獲得したロボットハンド」が登場、人間より正確なセンサーで重いものからポテチまでソフトに取り扱うことが可能に
マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)が、触覚センサーにより触れているものが何かを感知し、圧力を調節できるロボットハンドを2種類開発しました。これにより、柔軟な素材を用いた新しいロボット工学の分野である「ソフトロボット」がさらなる発展を遂げると期待されています。
Giving soft robots feeling | MIT News
http://news.mit.edu/2020/giving-soft-robots-senses-0601
MIT builds robot hand that can ‘see and feel’ objects as fragile as a crisp in major breakthrough | The Independent
https://www.independent.co.uk/life-style/gadgets-and-tech/news/robots-soft-robotics-hand-mit-csail-a9538301.html
今回発表されたロボットハンドがどんな動きをするかは、以下のムービーを再生すると一発で分かります。
Giving Soft Robots Senses - YouTube
MITは、触覚センサーにより柔軟な作業が可能なロボットハンドを2種類開発しました。
1つ目はハンドの底辺が伸縮する三角すいの形状をした「Magic ball gripper」です。
このロボットハンドは、物体にバルーンをかぶせてから、バルーンをぎゅっと収縮させて物体を保持します。
ロボットハンドには力やひずみを感知するセンサーが搭載されており、このセンサーからフィードバックを得て力を調節することで、重い瓶や……
壊れやすいポテトチップスまでさまざまなものを運ぶことが可能。CSAILの開発チームは今後、このセンサーを用いて応用性や感度に優れた「センシングスキン」を開発する考えとのことです。
そして、2つ目はカメラによりアームの状態を捉えて対象物の固さを認識する「GelFlex」です。
アームに装着されたカメラの映像から、「アームの曲がり具合」と「対象物のサイズと形状」を推測することで、壊れやすいものでもしっかり保持することができます。
指の曲がり具合を測定するセンサーは非常に精密で、誤差は平均して0.77ミリ未満。人間の指よりも正確だったとのこと。
80回のテストのうち、物体の形状を誤って認識したのは3回しかありませんでした。開発チームは今後、指の数や構造などがさらに複雑化しても対応できるセンサーを開発する予定です。
MITのロボット工学教授でCSAILの責任者でもあるDaniela Rus氏は、イギリスのオンライン新聞The Independentの取材に対し「世界を感じることで、世界を『見る』ことができるロボットを開発したいと思います」と語りました。
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