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肉体的接触は絆を深めて精神的な健康を生む、社会的距離を確保しなければならない時代に肉体的接触の代わりになるものとは?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、ハグ(抱擁)などの肉体的接触を取る機会は少なくなってきています。そんな肉体的接触について、オーストラリアのビクトリア大学の研究チームが、「肉体的接触には精神的に健康になる効果がある」と解説。COVID-19が流行して肉体的接触を控えなければならない中、肉体的接触の代わりになる行為を挙げています。

Miss hugs? Touch forms bonds and boosts immune systems. Here’s how to cope without it during coronavirus
https://theconversation.com/miss-hugs-touch-forms-bonds-and-boosts-immune-systems-heres-how-to-cope-without-it-during-coronavirus-137612

ビクトリア大学のミカエラ・パスコー氏ら心理学者4人によると、肉体的に接触するとストレスの軽減に役立つホルモンと伝達物質が放出されるとのこと。その代表が、中枢神経の神経伝達物質のオキシトシンです。オキシトシンはハグやタッチ、オーガズムなどによって産生される物質で、「寛大さ」や「信頼感」を高める可能性があるという研究結果が報告されています。オキシトシンは親子間での肉体的接触などの愛情に関する動作と関連性を有するという研究から、「愛情ホルモン」とも言われています。

肉体的接触に関係しているのはオキシトシンだけではありません。乳児が母親に抱かれると、乳児と母親の両者においてストレスホルモンのコルチゾールの分泌量が低下することが判明しています。


加えて、楽しい活動に関連する神経伝達物質ドーパミンや、やる気や幸福感につながるホルモンであるセロトニンも肉体的な接触によって放出されるとのこと。ドーパミンレベルの低下は統合失調症やうつ病、薬物中毒などの精神的問題と、セロトニンレベルの低下はうつ病や自殺などと関連しているため、これらの脳内物質の量を安定させることは精神的健康にとって重要です。

さらに、肉体的接触を減らすとさまざまな問題が生じることもわかっています。ルーマニアの児童養護施設の子どもたちを対象とした研究によると、幼児期に肯定的な肉体的接触が少ない子どもは認知力の発達や発育に遅れが生じるという結果や、その遅れが11歳になっても持続するという結果も得られています。フランスとアメリカの未就学児童に関する研究や思春期の少年少女に関する研究によると、肉体的接触の少ない子どもは攻撃的な行動を起こす可能性が高いことが示唆されています。


以上のように肉体的接触は精神的健康にとって重要です。しかし、COVID-19のパンデミックによって社会的距離をとることが推奨されるようになったため、今までのように肉体的接触を取ることはできなくなっています。

このような状況において精神的健康を保つために、研究チームは「なるべく家族間で肉体的接触を行うべき」と助言。家族と一緒に暮らしていない人の場合は、「ペット」がオススメとのこと。ペットと触れ合うと、人と肉体的接触する場合と似た効果が得られることがわかっています


「一人暮らしで、ペットも飼っていない」という人に対しては、別のアプローチをとるように研究チームはアドバイス。研究チームによると、「1日7~9時間の睡眠を確保する」「バランスの良い栄養摂取を心がける」「社会的つながりを維持する」「定期的に運動する」「屋外で過ごしたり、信頼できる人と不安について語り合ったりしてストレスを管理する」「危険なドラッグを使用しないようにする」といったことに気をつけて過ごすと、精神的に健康になるとのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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