スマートウォッチを駆使してウイルス性疾患を早期警告するための健康調査プロジェクト「DETECT」
最新の研究により、心拍数が通常時よりも高い場合、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどのウイルス性疾患にかかっている可能性があると指摘されています。そこで、AppleやFitbitなどが開発する心拍数の測定が可能なウェアラブルデバイスから得られる情報を用いて、研究者が人間の健康状態に関するより多くの洞察を得られるようにと始まったのがスクリプス研究所による健康調査プロジェクト「DETECT」です。ウェアラブルデバイスが収集した心拍数データと共に、ユーザーが自己報告した「せき・発熱などの症状」を記録することができます。
Detect
https://detectstudy.org/
Researchers test wearables as an early warning system for Covid-19
https://www.statnews.com/2020/03/26/wearables-health-workers-coronavirus/
健康調査プロジェクトの「DETECT」は、プロジェクト参加者の安静時心拍数を追跡し、この情報を匿名でスクリプス研究所の研究者に共有します。DETECTの目標は「ウイルスの感染が見られるエリアを素早く特定すること」、つまり、クラスターの発生を特定することです。ウイルスの感染をより早く発見することができれば、公衛生当局がウイルスに対処するための時間をより多く確保することが可能となるはず、とスクリプス研究所は説明しています。
また、DETECTはウェアラブルデバイスから直接心拍数などのバイタル情報を収集することで、例えば「心拍数の平均値」ではなく「正常時との差」からバイタルサインと疾患のつながりを予測しようとしているとのこと。なお、DETECTが収集するバイタルデータは心拍数・体温・運動量・睡眠レベルといったデータです。
スクリプス研究所による健康調査プロジェクトであるDETECTは、報道番組のABC 10Newsでも取り上げられています。
Scripps Research DETECT Study Discussed on 10News - YouTube
スクリプス研究所で働くエリック・トポール氏は、「DETECTに多くの人が早く登録すればするほど、ウイルスの発生をより早く予測することができるようになります」とコメント。トポール氏はDETECTを「健康データのGoogleマップのように機能させることを想定している」と語っており、例えば新型コロナウイルスの感染クラスターの発生を早期発見・警告できるようにするには、100万人規模のユーザーがDETECTプロジェクトに参加する必要があると主張しています。
季節性インフルエンザのようなウイルス性疾患にかかると、脳が病気であると自覚する前に体が反応し始めます。そして多くの場合、体温や安静時の心拍数が上昇するほか、活動量が下がり、睡眠に費やす時間が増えるとのこと。そのため、カリフォルニア大学サンディエゴ校で生物工学とデータサイエンスの助教授を務めるベンジャミン・スマール氏は、バイタルサインについて「あなたの体がどのように変化するかを、あなたが自覚するより先に知るためのものです」と説明しています。
なお、ウェアラブルデバイスを持っている人でDETECTに参加したい場合は、MyDataHelpsアプリをインストールすればOK。アプリはApp StoreとGoogle Play上で配信されています。
MyDataHelps on the App Store
MyDataHelps - Google Play のアプリ
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