新型コロナウイルスの流行拡大でハイテクトイレの売上がアメリカで急増
by Danny Choo
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴って、「紙製品の生産が停止することでトイレットペーパーが品薄になる」というデマが拡散され、日本ではトイレットペーパーの買い占めが相次ぎました。同様の買い占め騒動はアメリカでも生じており、その結果として温水洗浄機能を備えたハイテクトイレの売上が急増しています。
Amid coronavirus fears, Bidet sales soar as toilet paper sells out - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/lifestyle/story/2020-03-16/bidet-sales-spike-as-consumers-panic-buy-toilet-paper
2020年2月末頃、デマによるトイレットペーパーの買い占め騒動が日本で発生。全国各地の小売店でトイレットペーパーが売り切れました。同様の現象は香港やオーストラリアでも発生しており、一時は「闇市場が形成されつつある」と報じられていました。
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トイレットペーパーの買い占め騒動はアメリカでも発生。しかし、この騒動には副次的効果があったようで、アメリカの大手紙ロサンゼルス・タイムズは「トイレットペーパーの買い占め騒動によって『温水洗浄便座』売上が急増した」と報じました。
日本においては高い普及率を誇っている温水洗浄便座ですが、買い占め騒動以前のアメリカでは普及する兆候が見られたことはありません。ロサンゼルス・タイムズによると、インテリアデザインショーでは、温水機能機能だけでなく、暖房便座などの多数の機能を備えたTOTOの「ウォシュレット」シリーズに長蛇の列ができていたとのことで、アメリカ人は温水洗浄便座に興味がなかったわけではないとのこと。しかし、アメリカでは「水を流す」機能しか備わっていない便座がほとんどという状況が長らく続いていました。
なかなか温水洗浄便座が普及しなかったのは、アメリカ人の衛生意識の低さや、アメリカにおける温水洗浄便座の価格が原因という分析も報じられました。
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しかし、長らく続いていた「温水洗浄便座が普及しない」という状況は、トイレットペーパーの買い占め騒動で一変します。ロサンゼルス・タイムズによると、比較的安価な価格帯の温水洗浄便座を販売するアメリカのメーカー・TushyとBrondellは売上の急増を報告。Tushyの温水洗浄便座は品薄になったため、2020年3月半ばの段階で「2020年4月下旬に出荷予定」という状況になり、Brondellは過去1週間で小売店での温水専用便座の売上が4倍になったとのこと。
Tushyのジェイソン・オジャルボCEOは「アメリカ人が温水洗浄便座を採用する転換点かもしれません。一度温水洗浄機能を使ったら、トイレットペーパーだけの生活には戻れませんよ。非効率ですし、野蛮ですらあります」とコメント。Brondellの広報責任者であるダニエル・ラリー氏は「この前例のないトイレットペーパー不足の中で、我々はトイレットペーパーの代替となるスマートな解決策を提供できることを喜んでいます。創業以来16年間にわたって、我が社は『温水洗浄便座に切り替えることは環境面でもコスト面でもメリットがある』と説くことに情熱を傾けてきました」と述べて、「Brondellの温水洗浄便座は今のところ売り切れる見込みはないのでご安心ください」と語りました。
TushyやBrondell同様、「ポータブルビデ」を開発しているアメリカのスタートアップSonnyも、まだ試作品の段階であるにもかかわらず売上が増加したと報告。創設者のザック・レビンソン氏は「人々はあらゆる予防策を講じているため、行動に変化が生じています。我が社の製品の売上の増加は、COVID-19パンデミックが拡大することによって、トイレ文化に変化が生じつつあることを示すサインです」とコメントしています。
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