香港で見た中国の習近平国家主席への強烈な反感

「くまのプーさん」は誰もが知っている人気キャラクターですが、中国の習近平国家主席にそっくりなことから政治的な意味を帯びてしまい、2019年の香港デモではとんでもない扱いを受けることになりました。

自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンは2019年11月、民主化デモが起きた香港の現状を知るために、現地を見てきました。中国のトップに対する反感は、私たち日本人としても無関心ではいられない事柄です。

◆習主席が「プーさん」になった経緯
きっかけは、2013年6月の米中首脳会談において、オバマ大統領と習近平国家主席が並んで歩く2ショットで、2人の姿をクマのプーさんとトラのティガーに見立てたネットの投稿が話題となったことでした。そこからプーさんは不幸にも政治的な性格を帯びてしまい、中国国内のSNSでは検閲対象にまでなっています。

「習近平＝くまのプーさん」ネタをいじったコメディアンが「存在していない」ことにされてしまう - GIGAZINE

「習近平氏＝くまのプーさん」ネタに触れ中国の逆鱗に触れてしまったホラーゲームのパブリッシャーがビジネスライセンスはく奪処分となる - GIGAZINE

香港の屋台にあったタオルは普通のプーさん。

◆政治的プーさん
民主化デモが起きた香港では、支配者である中国政府への反感から、トップである習近平国家主席がプーさんもろとも厳しい攻撃を受けていました。

バス停に貼られたプーさんのイラスト。

道路の上にも首を吊るされたプーさんの姿。

「死」という言葉とともに。

◆習近平国家主席
プーさんだけでなく本人の写真も攻撃の対象になっています。

地下鉄の旺角駅と旺角東駅の間にあった大規模な陸橋は、壁や柱がデモ隊の張り紙でいっぱいでした。足元にまで張り紙があったりします。

何枚もの紙を使った大きなメッセージ。

習近平国家主席の顔に大きなバツ印。

ただ、このような場所であっても、人の顔を踏むとなれば抵抗あるようで、通路を歩く人も避けていました。

クリミア併合および東部紛争もあったウクライナではロシアへの反感が強くアンチプーチングッズが販売されていました。その一つにプーチン大統領の顔が印刷されたトイレットペーパーがありました。同じようなことが香港でも起きていました。

◆ゴキブリ
そして、また習近平国家主席をゴキブリとする表現も目立ちました。

「曱甴近平」という言葉。珍しい漢字の「曱甴(gaat6 jaat2)」は、香港で使用される広東語で「ゴキブリ」という意味。

中国大陸系携帯キャリアの店舗シャッターにも「甴近平」という落書き。習(jaap6)と音が近い甴(jaat6)の文字が当てられています。

◆応援メッセージ
香港では批判ばかり目立つ習近平国家主席ですが、一つだけ応援メッセージを見つけました。中国大陸で使われる簡体字のメッセージでした。

習主席万歳、共産党万歳、解放軍万歳。星星之火、可以燎原(最初は小さな火でも、広野を焼き尽くすことができる)。

「星星之火、可以燎原」は国共内戦時、中国の建国の父である毛沢東が国民党軍に抵抗するために使った言葉で、きっかけは小さな力でもやがて大きな反乱となるという意味。応援メッセージですが抵抗に使った言葉で鎮圧を促していて、なんだかやりきれません。

◆Twitterでも……
香港発の習近平国家主席に対する反感はTwitter上でも見受けられます。

香港の民主化を求める側の中国政府、国家主席に対する反感をまざまざと見せつけられました。ここまでのものとは想像できませんでした。

(文・写真：周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
Instagram https://www.instagram.com/shuto.takuya/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)