Appleが公的機関以外の「新型コロナウイルス関連アプリ」をApp Storeから削除している
AppleがApp Store上から信頼できないアプリを取り除くために政府や保健機関などの公的機関以外が作成した新型コロナウイルス関連アプリを削除しているとアメリカの大手ニュースメディアCNBCが報じています。
Apple rejects coronavirus apps that aren't from health organizations
https://www.cnbc.com/2020/03/05/apple-rejects-coronavirus-apps-that-arent-from-health-organizations.html
Report: Apple rejecting coronavirus iOS apps that aren’t from ‘recognized institutions’ - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/03/05/apple-coronavirus-apps-for-ios/
CNBCの報道は、4人のiOSアプリ開発者からの報告を基にしています。この4人のアプリ開発者はそれぞれ新型コロナウイルスの拡散状況や感染者の統計情報などを見ることができるアプリを開発していました。開発されたアプリの中には、世界保健機構(WHO)などの信頼できるソースが公開している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の統計情報を使用した「リアルタイムマップ」機能を有するアプリもあったとのこと。しかし、個人開発者が作成した新型コロナウイルス関連アプリの配信は認められませんでした。
CNBCによると、アプリ開発者らは新型コロナウイルス関連アプリの配信が認められなかった理由として、Appleから「現状の医療情報を扱うアプリは承認を受けた機関によるものでなければならない」という旨のメールを受け取ったとのこと。また、アプリ開発者の1人はAppleから電話で「App Storeで配信される新型コロナウイルス関連アプリは全て公的保健機関ないし政府によるものに限られます」と伝えられたそうです。
CNBCは、App Store上に新型コロナウイルス関連アプリはほとんど見当たらず、少なくともスパムアプリは一切存在しないため、実際にAppleの「規制」は効力を発揮していると記しています。しかし、今回のAppleの措置は、新型コロナウイルスの流行情報を調べられるアプリを入手できる機会をiPhoneユーザーから奪っているだけでなく、「どのような機関ならば新型コロナウイルス関連アプリの配信が許可されるのか」という公平性に関する疑問を提起しているとCNBCは指摘しています。
Apple関連のニュースサイト9to5Macは、App Storeのガイドラインが2020年3月4日に改定され、「5.1.1 データの収集と保存」に新たに(ix)という項が追加されたと報告しました。この5.1.1.ix項は、「銀行および金融サービス、医療、飛行機情報などの規制の厳しい分野に関するサービスを提供ないしユーザーの重要な個人情報を取り扱うアプリは、そのサービスを提供する法人のものに限られ、個人開発者が開発したアプリは受け付けない」と定めています。
Apple同様、GoogleもAndroidのアプリストアであるGoogle Play上で規制を行っています。CNBCは2020年3月5日の段階でGoogle Playで「coronavirus(コロナウイルス)」「COVID-19」と検索しても何の結果も得られなかったとして、「Googleもまた誤報を防ぐために措置を行っている」と述べています。
なお、Google Playは「新型コロナウイルス関連情報取得アプリ」と題したページを開設し、「新型コロナウイルスに対する警戒が高まっております。健康への配慮が出来るよう、関連の最新情報を確認出来るアプリをお知らせいたします」として、日本ではスマートニュース、NewsDigest、NHK ニュース・防災、Twitterを2020年3月5日時点で公式に推奨しています。
新型コロナウイルス関連情報取得アプリ - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/topic?id=campaign_editorial_3003109_crisis_medical_outbreak_apps_cep
CNBCによると、大手テクノロジー企業各社は自社プラットフォーム上で誤情報に対する規制を強化しています。FacebookはCOVID-19の予防や完治をうたう商品や広告を削除しているだけではなく、2020年3月4日にはマーク・ザッカーバーグCEOが陰謀論などのフェイクニュースを削除すると発表。Googleは特別なモジュールを使ってGoogle検索の上部にWHOからの情報を表示し、「新型コロナウイルス対策」をうたう商品の広告が表示されないように措置を講じました。Amazonは自社プラットフォーム上でCOVID-19に乗じたうたい文句を付けていた商品100万点を削除し、数千件のアカウントを停止しています。
Amazonが「コロナウイルス感染症を予防・完治」とうたった商品100万点を削除しアカウント数千件を停止 - GIGAZINE
・関連記事
新型コロナウイルスに関する「デマ」がSNS上で多数飛び交っているとAFP通信が警告 - GIGAZINE
新型コロナウイルスの流行状況が一目でわかるマップ「BNO Noticias Coronavirus tracker」 - GIGAZINE
感染拡大する新型コロナウイルスの勢いが一目でわかるマップ「Coronavirus 2020-nCoV」 - GIGAZINE
GoogleやMicrosoftが新型コロナウイルスの感染拡大を受け企業向けにリモートワーク用の会議ツールを無償提供 - GIGAZINE
新型コロナウイルスパニックによるトイレットペーパーや消毒剤の買い占めが海外でも発生、闇市場が形成される可能性も - GIGAZINE
「ウォッカは消毒液ではない」と新型コロナウイルスの感染拡大に合わせてメーカーが呼びかけ - GIGAZINE
・関連コンテンツ