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Appleが元従業員と「従業員は在職中に競合ベンチャーを計画できるか?」を裁判で争う

by Andy Xu

Appleの元幹部が立ち上げたチップ設計企業に対してAppleが訴訟を起こしています。訴えられた元幹部は「従業員であっても在職中に競合ベンチャーを計画できる」と主張しており、この訴訟の結果がハイテク企業で働きながらスタートアップを計画している多くのビジネスマンに影響を与えると報じられています。

Apple lawsuit tests if an employee can plan rival startup while on payroll - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-apple-nuvia-lawsuit/apple-lawsuit-tests-if-an-employee-can-plan-rival-startup-while-on-payroll-idUSKBN1ZK16R

アメリカでは一方が他方に対しビジネスで競合しないことを求める非競合協定を認める州が多くありますが、カリフォルニア州では従業員の転職を支持する公共政策が設けられています。こういった政策が、1950年代後半にフェアチャイルドセミコンダクターを設立し、最終的にIntelなどの有名企業を生み出すこととなった8人の反逆者誕生のきっかけとなったと言われています。

そんなカリフォルニア州に本社を置くAppleが、2019年まで同社でチップ開発の責任者を務めたというジェラード・ウィリアムズ3世に対して、訴訟を起こしました。ウィリアムズ3世はiPhoneに搭載されているA7チップからA12Xチップまでの開発を担ったという人物ですが、2019年3月に退職したのち、サーバー用チップの設計を行うスタートアップ・Nuvia立ち上げています。

Appleがカリフォルニア州サンタクララ高等裁判所に対してウィリアムズ3世の訴訟を提起したのは、2019年8月のこと。Appleはウィリアムズ3世が「雇用契約および忠実義務に違反した」と主張しました。

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by Stuart Maxwell

Appleによると、「ウィリアムズ氏はAppleに勤務している最中に、自分のビジネスを開始するという計画を隠して準備を進め、新企業設立時にもAppleの同僚を引き抜こうと画策した」とのこと。Appleはウィリアムズ3世の雇用時に「Appleと競合するか、会社に直接関係するような他の雇用を計画あるいは従事しないこと」への同意を求めており、同氏は同意書にサインしています。そのため、Appleは知的財産に関係する雇用契約および忠実義務にウィリアムズ3世が違反したと主張しています。

これに対してウィリアムズ3世は、2019年11月に裁判所に書類を提出。この中で、カリフォルニア州では「従業員が在職中に競合他社を計画するための準備をすることが許可されている」と主張し、Apple側と結んだ契約には強制力がなかったと主張しています。

両者による公聴会が2020年1月21日に開催され、担当判事のマーク・ピアース氏はAppleに対して懲罰的損害賠償を求めることを禁じました。続く公聴会が1月28日に予定されており、その後判決を下すかどうかが決定されるそうです。

by Kentaro Toma

ロイター通信がサンフランシスコを拠点とする著名弁護士のクリフ・パレフスキー氏にコメントを求めたところ、同氏は「いかに規制の緩いカリフォルニア州であっても限度があります」と語り、従業員が在職中に自分の時間で競合他社の計画することは可能であるものの、在職中に同僚を引き抜こうとすることは「少し危険な行為です」と述べました。

また、ピアース判事も「もしも従業員が就業時間内あるいは従業員としてのリソースを用いて競合他社を計画・準備する場合、退職前にこれらを行うことは認められません」と指摘しています。そのため、「ウィリアムズ3世によるNuvia創業が、就業時間内に行われていたものなのか、それとも完全に個人的な時間の中で行われたものなのか」が重要になるとパレフスキー氏は主張。ただし、その詳細を紐解くことが非常に困難であるとも述べています。

なお、AppleはNuviaやウィリアムズ3世以外の創業メンバーを訴えているわけではなく、同社がAppleの知的財産や企業秘密を盗んだと主張しているわけでもありません。

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in メモ, Posted by logu_ii

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