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「NVIDIAのArm買収は技術独占を生み出すだろう」とArmの共同設立者が語る


2020年9月、世界最大級のチップメーカーであるNVIDIAが、イギリスの半導体メーカーであるArmホールディングスを約4兆2000億円で買収しました。これについて、Armホールディングスの前身であるCambridge Processor Unitという企業の共同設立者であるヘルマン・ハウザー氏は、イギリス議会庶民院外交委員会に宛てた手紙の中で、「Armホールディングスの買収によってNVIDIAは技術独占が可能になる」という懸念を示しました。

Arm co-founder: Nvidia takeover would create another US tech monopoly | Business | The Guardian
https://www.theguardian.com/business/2020/oct/12/arm-co-founder-nvidia-takeover-would-create-another-us-tech-monopoly

Armホールディングスはおよそ6500人の従業員を抱える半導体メーカーで、プロセッサ用のRISCアーキテクチャである「Armアーキテクチャ」を開発したことで知られています。

Armホールディングスは2016年にソフトバンクに全株式を買収され、2020年7月に事業を分割。そして、2020年9月14日にIoT部門以外がすべてNVIDIAに約4兆2000億円で売却されることが発表されました。

ソフトバンクが約4兆2000億円でArmをNVIDIAに売却 - GIGAZINE


下院外交委員会への手紙の中で「世界にはArmライセンスに基づいたチップを持たない半導体企業は1つもありません。NVIDIAはマイクロプロセッサの世界でほぼ独占的なサプライヤーになろうとしています」と述べ、GoogleやFacebookと同等に独占的なテクノロジー企業となる可能性を危惧しています。

また、ハウザー氏は、「今回の買収取引は『半導体産業のスイス』であるArmホールディングスの地位を終わらせるものです」と語り、NVIDIAがArmホールディングスの親会社になることは、Armホールディングスの公平なビジネスモデルを破壊し、最終的に世界をリードするイギリスのテクノロジー企業を殺すことになるだろうと述べています。

by Fritzchens Fritz

ハウザー氏は、「当然かつ非常に望ましい代案は、イギリス政府がその召集権を利用して、Armのライセンシーのシンジケート、イギリス年金基金、およびその他の指示を主導し、ロンドン証券取引所、ニューヨーク証券取引所、または上海スター市場でArmの株式を公開してArmホールディングス株を取得し、イギリスの技術資産を維持するために、そしてこの卑劣な状況に再び陥ることがないように戦うことです」と述べ、NVIDIAに対抗して国家がArmホールディングスを救うべきだとしました。

同様の訴えをしているのはハウザー氏だけではなく、イギリス労働党のトウシュであるエド・ミリバンド氏も「NVIDIAがイギリス本社の運営やイギリスの従業員雇用を維持するかどうかは不明」として、イギリス政府へ介入すべきだと主張しています。

ハウザー氏は、「テクノロジーの主権は急速にここ10年間の決定的な問題となりつつあります」と述べ、「水や電力のインフラと比較しても、ITインフラの重要性を考えれば、NVIDIAによるArmホールディングス買収は明らかに国家の安全保障とも関連しています」と強く訴えています。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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