「AI関連ソフトウェアの輸出に制限をかける」とアメリカ政府が発表
by Franck V.
アメリカ政府が、一部の人工知能(AI)プログラムの海外への輸出を新たに制限する予定だと発表しました。この輸出規制は、中国などのライバル国に国家安全保障に関する技術を渡さないための施策だと報じられています。
Federal Register :: Addition of Software Specially Designed To Automate the Analysis of Geospatial Imagery to the Export Control Classification Number 0Y521 Series
https://www.federalregister.gov/documents/2020/01/06/2019-27649/addition-of-software-specially-designed-to-automate-the-analysis-of-geospatial-imagery-to-the-export
U.S. government limits exports of artificial intelligence software - Reuters
https://www.reuters.com/article/usa-artificial-intelligence/us-government-limits-exports-of-artificial-intelligence-software-idUSL1N2980M0
禁輸措置の対象となるのは、ニューラルネットワークを使用して地理空間画像を分析する一部のソフトウェアです。地理空間画像の分析技術は、人工衛星から撮影した写真から貨物船の動きを追跡したり、山火事の広がりを監視したりするために使われているほか、他国のミサイルの動きを監視するなどの軍事目的でも活用されています。対象となるソフトウェアは、カナダ以外の国外地域に出荷される場合、政府に必ず許諾を得る必要があるとのこと。
今回の禁輸措置は、2018年に成立したExport Control Reform Act(ECRA、輸出管理改革法)に基づいて、2020年1月6日から適用されます。
海外メディアのロイターは、アメリカ政府が今回の禁輸措置を皮切りに、AIを含む「アメリカの国家安全保障に不可欠な新興技術」の輸出規制強化を検討していることを示していると報じています。また、今回の禁輸措置はアメリカのみで有効となりますが、アメリカ当局が国際機関に提出することで、他国にも同様の措置を強要する可能性があるとロイターは指摘しています。
ロイターによれば、一部議員の間で輸出規制強化の展開が遅れていることに対する不満が高まっており、民主党のチャック・シューマー氏は商務省に手続きの迅速化を求めているそうです。
一方で、アメリカ政府は「これらの輸出規制を直ちに実施することが米国の安全保障上の利益になると考えているが、同時に、関心を有する一般の人々が新品目の規制について意見を述べる機会を提供したいとも考えている」と述べています。
by David Everett Strickler
ただし、技術系メディアのThe Vergeは、このソフトウェアの重要性にかかわらず、輸出禁止が中国や他のライバル企業のツール開発に大きな影響を与える可能性は低いと述べています。一部のプログラムは制限されていますが、分析調査サービス自体はオンラインで無料で利用可能であり、エンジニアは自分でソフトウェアを開発することができるとのことです。
・関連記事
8兆円相当の支援を中国政府から受けていたという報道にHuaweiが反論 - GIGAZINE
中国大使が「ドイツがHuaweiを締め出せばドイツの自動車産業に影響が出る」と示唆、専門家は「オープンな脅迫だ」と主張 - GIGAZINE
中国がライブストリーミングによる動画配信に検閲を設ける&国営企業による海外製PCの使用を禁止 - GIGAZINE
Huaweiスマホのアメリカ製パーツからの脱却が着々と進行中 - GIGAZINE
中国が知的財産権の保護を促進する世界機関を主導しようとしている - GIGAZINE
・関連コンテンツ