サイエンス

何も食べていないのに吐き気を催すのは「ホルモンバランスが崩れている」可能性

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食事をとらずに長時間空腹を我慢しながら過ごしてしまうと、人によっては空腹感と共に軽い吐き気や不快感、腹痛などを覚えることがあります。なぜ食べ物を口にしていないにもかかわらず吐き気を催してしまうのか、その理由をクリーブランド・クリニックで消化器科を担当するクリスティン・リー医師が解説しています。

Why Does Hunger Sometimes Cause Nausea? | Live Science
https://www.livescience.com/why-nauseous-when-hungry.html

リー医師は、空腹時に吐き気を催してしまう理由として「胃酸過多」を挙げています。胃は強酸性の胃液を消化液として分泌しますが、長時間食事をしない状態で胃液が分泌されると、胃の内粘膜が傷つけられてしまうほか、食道に逆流して吐き気や胸焼けを引き起こす可能性があるとのこと。

そして、リー医師は、空腹時に胃液が過剰に分泌されるのは「レプチングレリンという2つのホルモンのバランスが崩れること」が一因だと指摘しています。

レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、間脳視床下部に働きかけることで「食欲減退」を引き起こし、エネルギー消費を促します。「おなかいっぱいでもう食べられない」という満腹感は、このレプチンが分泌されることで得られます。

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一方、グレリンは主に胃から分泌されるホルモンで、間脳視床下部に働きかけることで「食欲増進」を引き起こします。また、グレリンは胃液分泌や腸のぜん動、味覚、グルコース代謝など、体内のさまざまな機能に影響を及ぼすことがこれまでの研究でわかってきました。

レプチンとグレリンの分泌量には相関関係があり、そのバランスが維持されることで適切な食欲と体重が維持されます。しかし、空腹感を無視して食事を長時間とらずにいると、レプチンとグレリンのホルモンバランスが崩れてしまい、グレリンが胃から過剰に分泌されてしまいます。

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リー医師によると、グレリンに対する感受性には個人差があるとのこと。そして、グレリンに対する感受性が高い人の体内でグレリンが過剰に分泌されてしまうと、空腹にもかかわらず胃液が過剰に分泌され、胃酸過多によって軽い吐き気や腹痛が引き起こされる可能性があるとのこと。

「グレリンの感受性が高い」ということは「すぐに空腹になる」ということであり、必然的に摂食量が増えるため、肥満になりやすいといえます。リー医師は「強い空腹感と共に吐き気や痛みを覚える場合、高血糖や高コレステロール、高血圧など、メタボリックシンドロームの検診を受ける必要があるかもしれません」と注意を促しました。

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in サイエンス,   , Posted by log1i_yk

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