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Chrome・Firefoxに入れるだけで検閲回避の手助けができる拡張機能「Snowflake」


2019年現在、インターネットは全世界の半分をリンクしているといわれていますが、国家規模の検閲システム「グレートファイアウォール」が敷かれている中国ではWikipediaへのアクセスが完全に遮断されるなど、世界のネットユーザーの中には厳しい検閲に苦しんでいる人がたくさんいます。そんな中、ChromeやFirefoxに導入するだけで検閲回避の手助けが可能な拡張機能「Snowflake」が登場したので、さっそく使ってみました。

Snowflake
https://snowflake.torproject.org/

Snowflake - Chrome ウェブストア
https://chrome.google.com/webstore/detail/snowflake/mafpmfcccpbjnhfhjnllmmalhifmlcie

Snowflake – Firefox (ja) 向け拡張機能を入手
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/torproject-snowflake/

SnowflakeはChrome版とFirefox版がありますが、今回はChromeに導入してみます。まずChrome ウェブストアの配布ページにアクセスして、「Chromeに追加」をクリックします。


次に「拡張機能を追加」をクリックします。


右上に雪の結晶体のアイコンが表示されたら導入は完了です。


難しい設定などは不要で、拡張機能をインストールしておくだけでOK。アイコンをクリックすると、直近24時間に自分のブラウザを通じて検閲を回避できた人の人数が表示されます。また、使用を停止したい場合は「Turn Off」のトグルスイッチをクリックすると無効化できます。


実際にSnowflakeを有効にして1時間ほどブラウジングしてみてもクライアントに使用されなかったため、検閲回避の手助けをした時にどんな挙動をするかは分かりませんでしたが、少なくともSnowflakeを導入しただけでは特定のサイトにアクセスできなくなったり、通信が遅くなったりすることはありませんでした。

Snowflakeが検閲の回避を手助けする仕組みを図で表すとこんな感じ。まず、「検閲を回避したい人(クライアント)」がTor Browserのブリッジ接続機能を通じて、ドメイン・フロンティングによりドメインを秘匿した「仲介者(ブローカー)」にアクセスします。すると、ブローカーはSnowflakeプロキシの接続先をクライアントに示します。その後クライアントはボランティアのプロキシを介してTorネットワークによるインターネットアクセスを確立させるわけですが、Snowflakeを導入したブラウザがこのボランティアの役割を果たすというわけです。


Torによる通信は検閲の回避だけでなく、匿名性を利用した犯罪にもしばしば使用されるため、自分のPCが身代わりにされるのではないかと少し心配になりますが、開発者によるとクライアントがウェブサイトにアクセスする際のIPアドレスはプロキシではなくTorの出口ノードのものになるため、心配は不要だとのこと。

なお、Snowflakeの名前の由来は、クライアントとプロキシの接続に使用されるWebRTC技術の通信プロトコルInteractive Connectivity Establishmentの略称「ICE(氷)」にちなんだものであるほか、この取り組みに参加するボランティアプロキシの「特別で刹那的」な様子を雪の結晶になぞらえたダブルミーニングだとのこと。

「Snowflake」という言葉は直訳すると雪の結晶体のことですが、雪の結晶体には同じ形のものは存在しないといわれていることから、英語圏では「特別なもの」のたとえにも使われています。

by Jill Wellington

もっとも、科学の粋を集めれば同じ形の結晶を作ることは可能なようです。

「雪の結晶に同じものは二つとない」という定説が覆される - GIGAZINE

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in レビュー,   ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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