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匿名性の高い通信を行うソフト「Tor」に関連するグループのメンバー宅にドイツ警察が踏み込む

by samchills

インターネット上のプライバシーと匿名性の確保につながるプロジェクトを支援する非営利団体「Zwiebelfreunde」の幹部の自宅が、ドイツ警察の「暴力的な抗議活動に関係している」という主張によって強制的に捜索されたと報じられています。

German police raid homes of Tor-linked group's board members | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/german-police-raid-homes-of-tor-linked-groups-board-members/

2018年6月20日の早朝、ドイツ警察は匿名性の高い通信を行うソフトウェア「Tor」に関連する団体である、Zwiebelfreundeの理事を務めるアウクスブルクにあるMoritz Bartl氏の自宅、イェーナにあるJens Kubieziel氏の自宅、ベルリンにあるJuris Vetra氏の自宅を強制的に捜索しました。また、この3名に加えてZwiebelfreundeの元理事であり、現在でも団体の銀行口座にアクセス可能な状態であった人物の自宅にも強制捜索が執行されたとのこと。元理事の人物は、出張から帰ってきて家の鍵が変更されていることを知り、初めて警察の強制捜索が行われたことを知ったそうです。


今回の捜索はKrawalltouristenという左翼系の団体が、「ドイツの右翼系の野党であるドイツのための選択肢の年次大会に合わせて抗議行動を行おう」とブログで訴えたことを受けてのもの。Bartl氏は今回の強制捜索について、「法執行機関は抗議行動が暴力的な行動を伴うと信じていたようだ」と推測しています。

ドイツ警察は問題になったKrawalltouristenのブログに関連してZwiebelfreundeが行った通信記録と、匿名性の高いメールサービスを提供するRiseupが交付したメールアドレスを入手する令状を持っていたとのこと。Torでの通信を広帯域で利用可能なサービスを提供するTorservers.netの下部組織であるZwiebelfreundeは、RiseupのTor関連のインフラストラクチャーに関する寄付事業をヨーロッパで行っているものの、メールサービスには関与していないと主張しています。

by Kecko

警察はZwiebelfreunde、左翼系団体のKrawalltouristen・メールサービスを展開するRiseupに密接な関連があるとして今回の強制捜査を正当化していますが、Bartl氏は関連を否定しています。「私たちは問題になったブログにも、Riseupのメール事業にも関連していません。実際にある関連といえば、ドイツのための選択肢が年次大会を行った町に私が住んでいることくらいです」とBartl氏は主張しました。

今回警察によって押収された紙媒体の資料の中には、セキュリティ上の問題を考慮してオンラインで残さなかった、Torや匿名性の強いOSのTailsといったプロジェクトに関するメンバーの個人情報が記されていたとのこと。Zwiebelfreundeの理事会は「どのような情報が押収されたのか」について説明する声明を発表しました。Bartl氏は押収された記録媒体について、警察が暗号化を突破できる可能性は非常に低いと考えていますが、後でPGPの鍵とキーフレーズを新しいものに切り替えるとしています。

Zwiebelfreundeと関連するメールアドレスを捜索した警察は、Zwiebelfreunde関連の郵便物を処理する法律事務所についての捜索令状も取得したとのこと。これにより悪い評判を受けることを気にした法律事務所は、Zwiebelfreundeに対して新たに別の法律事務所と契約するように迫ってきたようです。「私たちはドレスデンの税務当局と良好な関係を保ってきたが、新たに別の事務所を探さなければなりません。しかし、私たちを受け入れてくれる町を探すのは難しいでしょう」とBartl氏は語りました。

by Robert Anders

また、アウクスブルクにあるハッカースペースでも強制捜索は行われ、自宅にはなかった資料が押収されたそうです。加えて、ドイツ警察はハッカースペースにあったホワイトボードに書かれた文字を誤って解釈し、Bartl氏を含む3人を「暗殺計画を立てた容疑」で逮捕しました。それによって3人は持ち物を没収され、4時間にわたって拘束され、その間にハッカースペースの捜索も行われました。

Bartl氏らはその後暗殺容疑を解かれて解放されましたが、警察は自宅からZwiebelfreundeと関連しない別の仕事に関する機器や、個人的な写真やタブレットまで押収していったとのこと。デジタル関連の機器の多くを押収されてしまったBartl氏は、仕事を中止せざるを得ない状況に追い込まれてしまったと述べています。

「警察は本来令状によって許可されていた範囲から大きく逸脱し、捜査の目的とは関係のない私的な機器まで没収した」として、Zwiebelfreundeの幹部を務めるBartl氏ら3人は訴訟を起こすことを予定しています。「私たちの戦いは、合法的なものです」とBartl氏は語りました。

by urbanartcore.eu

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in メモ, Posted by log1h_ik

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