メモ

「アルツハイマー病などの研究に役立てて欲しい」と献体した母親の遺体が軍の爆風実験に使われていた

by Jens Johnsson

医学や科学の進歩にとって遺体の寄付は非常に貴重なものですが、アメリカでは研究目的で献体された遺体が遺族や本人の意思に反して軍の爆風実験に使われるといった事態が起こっています。

Valley man learns mom's body was sold for 'blast testing'
https://www.abc15.com/news/region-phoenix-metro/central-phoenix/valley-man-learns-moms-body-was-sold-for-blast-testing

A Woman's Body Was Donated to Science, And Then Her Son Found Out How It Was Used
https://www.sciencealert.com/an-elderly-woman-s-body-was-donated-to-science-and-then-her-son-found-out-the-truth

Inside a business where human bodies were butchered, packaged and sold
https://www.reuters.com/investigates/special-report/usa-bodies-business/

ジム・スタッファーさんの母親が74歳で亡くなった時、スタッファーさんは母親の遺体を科学のために寄付することに決めました。スタッファーさんの母親は認知症を患っていたため、アルツハイマーのような疾患の治療に役立てたいと考えたためです。看護師の助言もあり、スタッファーさんはアリゾナ州にある生物資源センター(BRC)を寄付先に指定。母親の体を医学の発展のために役立て、火葬後の遺灰を受け取ったそうです。


しかし、その数年後、ロイターの記者から電話を受け取ったスタッファーさんは、母親の体が脳の研究ではなく、軍の爆風実験のために売られたことを知ります。

スタッファーさんは遺体を寄付する際、同意書の中で「爆破などの実験に使う」という質問に対し「ノー」と答えていたとのこと。にもかかわらず、遺体はスタッファーさんの望まない方法で使われていました。

実は死後に臓器を提供することと、遺体全てを科学のために提供する献体とは法律を含め扱いが異なるのですが、多くの人はこの点を知りません。

献体の場合は寄付先が医学部であるか研究施設であるかという違いはあるものの、基本的には教育的あるいは科学的な用途で用いられます。医学部の学生にとって学びを深めたり手術の練習をするために遺体は必要不可欠です。また、がん細胞を見分けるための研究で遺体の細胞が利用されることもあります。

by Matt Botsford

しかし、近年の調査では信頼性の高い大学や医療施設ではなく、民間の団体に遺体を寄付した場合、遺体が同意書通りに扱われず、利益重視のビジネスによってぞんざいに扱われてしまうことがあると判明しました。

2016年、長期にわたるロイターの調査で、「non-transplant tissue banks(非移植組織バンク)」と呼ばれるビジネスが明らかになりました。臓器や組織の移植産業とは異なり、このような組織は厳しく法規制されておらず、寄付された遺体がまるで食肉包装工場の作業のような扱いを受け、売られていくとのこと。移植用の臓器は法規制によってアメリカ国内で販売することができませんが、研究や教育目的の遺体に関しては売買を禁じる法律がありません。

ロイターは、スタッファーさんを始めとする遺族がBRCに提供した遺体20体が軍の爆風実験のために売られたことを突き止めました。遺族はこのような用途で遺体が使われるという同意をしていないか、あるいは正しい理解をしていないかという状態だったそうです。同意書は専門用語で書かれており、ドナーやその家族は正しく理解できなかったためです。

なお、遺体を売買するブローカーはBRC以外にも存在し、MedCure Incというブローカーはアメリカのドナーのうち毎年1万体を売ったりリースに出したりしていると報告されています。

2016年にロイターがブローカーの存在を告発した後、アリゾナ州ではブローカーをライセンス制にして定期的に監査する州法を作りましたが、記事作成時点ではまだ施行されていません。検体は医学の発展のために必要不可欠なものですが、慎重に同意書を読む必要があるといえます。

by JC Gellidon

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in メモ, Posted by logq_fa

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