サッカーの審判が誤ってゴールを決め、正式な得点としてカウントする珍事が発生

オランダのサッカー第4部リーグであるデルデ・ディヴィジで、「審判が誤ってゴールを決める」という珍事が発生しました。審判はこのゴールを正式な得点と認めています。

A soccer referee accidentally scores a goal. And counts it.
https://mashable.com/article/referee-soccer-goal/

問題のゴールが生まれたのは、2019年5月25日に行われたデルデ・ディヴィジ第34節のハルケマセ・ボーイズ対HSVフークの試合。

試合のハイライトムービーの中で、問題のシーンを確認できます。

BIZARRE goal van scheidsrechter (!) bij Harkemase Boys - Hoek - YouTube


問題が起きたのはムービーの4分4秒辺りからのシーン。白いユニフォームのHSVフークが赤いユニフォームのハルケマセ・ボーイズのゴールに迫り、背番号21番がシュートを放ちます。

ハルケマセ・ボーイズのGKがボールに触ったため、ボールは勢いなくゴール方向に転がっていきます。

ゴールラインギリギリでGKがボールを弾き、ボールはゴールポストをかすめてゴールの左方向に転がっていきます。この時点ではどちらのチームの選手もゴールをアピールしておらず、プレイが続いており、黒服の審判もボールの行方を追っていることがよくわかります。

こぼれてきたボールをHSVフークの背番号10番がゴール前にもう一度蹴り込みます。

ボールはハルケマセ・ボーイズの背番号5番に当たり……

審判の足下にこぼれます。

審判の足にぶつかったボールが再びゴール方向へ飛びますが、ハルケマセ・ボーイズの選手が必死にボールを蹴り出します。

しかし、審判が笛を吹きボールがゴールラインを割ったと判定。HSVフークの得点が認められます。

ハルケマセ・ボーイズの選手たちは判定に納得がいかないようで審判に抗議しようとしますが、審判はそそくさと退散。

背番号20番が詰め寄りますが、判定は覆らず。審判のゴール(？)で試合は3対2となってしまいました。

もう一度一連のシーンをスローで確認してみます。まずは最初のシュートシーン。ゴールラインを割る前にGKがボールを横に弾き……

ボールがゴールポストにコツンと当たります。そのまま真横に転がっていくので、選手および審判はここまでの時点ではボールがゴールラインを割っていない(得点が決まっていない)という判断。

審判の足下にボールがこぼれてきたシーン。周囲にはHSVフークの選手がおらず、審判がいなければハルケマセ・ボーイズの選手にボールが渡るところ。

ボールを避けようとしたのか、審判の足がボールを蹴る形になり……

ゴール！

選手たちの抗議に審判はこのポーズ。なぜこれがゴールと認められてしまうのかといえば、国際サッカー評議会(IFAB)が定めるサッカーの競技規則に、「(主審を)石だと思ってプレーする」というものがあり、主審にボールが当たった場合はそのまま関係なくプレーを続けることが求められるから。今回のケースも偶然審判にボールが当たってしまい、ゴールとなってしまったという判定になるようです。

運悪く審判にゴールを決められてしまったハルケマセ・ボーイズは、公式Twitterアカウント上で問題のシーンを投稿しながら「これは経験したことがない」とツイートしています。

ただし、2019/2020年シーズンからIFABは競技規則を一部改訂予定で、試合中にボールが審判に当たり「得点機会につながる」「そのままゴールに入る」「ボールを保持するチームが変わる」場合は、試合を止めてドロップボールで再開されることになる可能性が高まっているので、今後は審判による得点シーンが生まれなくなる可能性が高いです。

・おまけ
サッカーの審判が大きな注目を集めるといえば、日本でも明治安田生命J1リーグ第12節の浦和レッズ対湘南ベルマーレの試合で、杉岡選手のゴールシーンが認められないというジャッジが大きな話題を呼びました。なぜこのようなジャッジを審判が下してしまったのかについて、JFA審判委員会の上川徹さんやJリーグ副理事長の原博実さんが議論を繰り広げるJ公認のウェブ番組がYouTube上で無料で公開されているので、気になる人はチェックしてみてください。

なぜ杉岡選手のゴールは認められなかったのか？　【Ｊリーグジャッジリプレイ2019 #12】 - YouTube