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AdobeがCreative Cloud内のPhotoshop・Premiere等の一部旧バージョンを認定除外、「第三者からの権利侵害を主張される可能性」


月額制(サブスクリプション制)でAdobeのアプリケーションの多くが使い放題になるというサービス「Adobe Creative Cloud」の利用者に対して、Adobeから最新バージョンへの移行を促す通知が発信されました。「旧バージョンよりは最新版を」というのは珍しくない案内ですが、今回のAdobeの事例では一部ソフトの旧バージョンが「認定外」の扱いとなり、使い続けた場合「第三者からの権利侵害を主張される可能性がある」と一方的に通告される形となったため、世界中のユーザーの間に混乱が起こっています。

Changes to Creative Cloud Download Availability | Adobe Blog
https://theblog.adobe.com/changes-to-creative-cloud-download-availability


公式ブログの案内は、Creative Cloudユーザーが今後ダウンロードできるデスクトップアプリケーションは最新の2つのメジャーバージョンだけになる、という内容で、その理由を「大多数のユーザーが利用している最新メジャーリリース2つに力を注ぐことで、必要とされる機能をさらに開発し、全体で最高のパフォーマンスとメリットを実現する」と説明しています。

しかし、法人ユーザーのもとには「認定バージョン」への更新の依頼と、更新せず認定外のバージョンを使い続けた場合、「第三者に権利侵害を主張される可能性」がある旨の通知が届いたとのこと。

アドビ


Adobeによれば、Photoshopの認定バージョンは「CC 20、CC 19、CC 18.1.7」、Premiere Proの認定バージョンは「CC 13、CC 12 」、After Effectsの認定バージョンは「CC 16、CC 15」、Animate(旧Flash)の認定バージョンは「CC 19、CC 18 」だとのことで、このほかにInDesign、Media Encoder、Audition、Lightroom Classic、Bridge、Prelude、Captivateで認定バージョンが指定されています。SpeedGradeは販売が終了したため「CC 9」以前がすべて認定外となっています。一方、ここに含まれていないソフトウェアについてはすべてのバージョンが認定されるとのこと。

「ワイルド・スピード ICE BREAK」をはじめとした映画やTVシリーズのポストプロダクション作業を手がけるアシュレイ・リンチさんのようなプロのもとにも影響が出てきます。

Adobe is no longer allowing subscribers to download previous versions of Premiere and is even sending notices to people who still have them installed to say they're no longer allowed to use them. pic.twitter.com/8t0tx8FTeO

— ᴡʜʏ ɪs ASHLEY LYNCH ᴏɴ ᴍʏ ᴛʟ (@ashleylynch)


ゲーム制作者のMatt Roszakさんは、お金を払って使っているはずの「Animate 15.0(旧Flash CC 2015)」の利用停止を通告され、「購読をキャンセルする時だと思う」とツイート。

I just got an email from @Adobe that I'm no longer allowed to use the software that I'm paying for. Time to cancel my subscription I guess.

Share plz. pic.twitter.com/ZIIdqK5AkM

— Matt Roszak ???? (@KupoGames)


書籍「神速Photoshop [Webデザイン編]」にも携わったWebデザイナーの庄崎大祐さんも、「ユーザーにとってかなり不利益になる契約内容の変更を何の事前告知もなくおこなったこと」「それどころか個人契約ユーザーには事後報告すらないということ」と問題点を挙げています。

「CS6以降のアプリがいつでもすべて使える」という売り文句のAdobe CCが、事後報告すらなく過去のアプリが使えなくなった件 | Stocker.jp / diary
https://stocker.jp/diary/adobe-cc/

「Creative Cloudに加入すれば、CS6を最も古いバージョンとして、どのバージョンにも、いつでもさかのぼってご利用いただけます」については、CC発表後の公式ブログに文言が残っています。

Photoshop CC 発表後の、よくある質問と回答の話
https://blogs.adobe.com/japan/faq/

元DTPオペレーターだという笹川純一さんは「IllustratorやInDesignは作成時と同じバージョンで開かないと、文字組版がズレたり、表現が異なったりして、制作者の意図とは異なった仕上がりになることも」あるため、印刷業界、特にDTP分野に大きな影響があることを指摘しています。

Adobe CCを契約していてもCS6は使用禁止? さらにCCでも古いバージョンの使用を認めない方針に。|jdash2000 site
https://jdash.info/archives/Adobe CCを契約していてもCS6は使用禁止.html

本件には、AdobeがDolbyとの間に抱えるライセンス料支払いを巡る争いとの関連を指摘する声もあります。

Dolby sues Adobe for dodging license fees • The Register
https://www.theregister.co.uk/2018/03/14/a_dolby_sues_adobe_for_dodging_cloud_license_fees/

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logc_nt

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