Airbnbに「宿泊した部屋に無断でカメラが設置されていた」と客が訴えるも門前払いを受けてしまう
世界中190カ国以上で現地の人の家を借りて宿泊できるサービス「Airbnb」では、ホスト(貸主)が宿泊客に黙ってカメラを部屋に設置するケースが増加していて、宿泊客のプライバシー保護問題に発展しています。そんな中、カーネギーメロン大学の教授が年末に家族ぐるみで宿泊した部屋に無断でカメラが仕掛けられていたと告白。さらに「Airbnbからは当初苦情をつっぱねられた」とその一部始終をブログに記していました。
who-is-watching-you-in-your-airbnb
http://jeffreybigham.com/blog/2019/who-is-watching-you-in-your-airbnb.html
Airbnb apologizes to guest for how it handled undisclosed security camera - CNET
https://www.cnet.com/news/airbnb-apologizes-to-guest-for-how-it-handled-undisclosed-security-camera/
カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスの教授を務めるJeffrey Bigham氏は2018年の大みそかを家族とシアトルで過ごそうと、Airbnbで予約した部屋に宿泊しました。しかし、いざ部屋に宿泊した段階で、Bigham氏は室内に設置された複数台のカメラを発見。カメラはコンセントや人感センサーにカモフラージュされてはいませんでしたが、事前にカメラが設置されていることを知らされていなかったBigham氏は驚いて、すぐさまカメラの電源プラグを抜いたそうです。
Bigham氏はカメラについてAirbnbへすぐに問い合わせましたが、「Airbnbに掲載されている部屋の写真の1枚にカメラが映っていたため、カメラの有無が適切に提示されていたといえる」とAirbnbはBigham氏の訴えを退けたのこと。Bigham氏がTwitterに提示した以下の画像がその写真で、確かに左上に小さくカメラは写っているものの、言われなければカメラだとは気づかないレベル。
check out this picture from an @Airbnb I recently stayed at in Seattle -- notice anything concerning?
— Rogue P. Bigha????!! (@jeffbigham) 2019年1月15日
if you manage to spot it, that's great, because Airbnb considers this photo to be proper disclosure… 1/n pic.twitter.com/gj9XFcaZoe
その後、Airbnbは部屋のホストにカメラのことを尋ねたようで、Bigham氏が宿泊しているにも関わらず、ホストは部屋に代理人を送って調査。カメラが無効になっていたことを知って、ホストは「Airbnbに突っぱねられた後にあなたは私たちのセキュリティシステムを取り外しました。大みそかに何か隠したいことでもあったんでしょうか?」というメッセージをAirbnbを通じてBigham氏に送ってきたとのこと。さらに、ホストはBigham氏が「部屋を甚だしく乱雑に使った」と主張したそうです。
I'll end with this hilarious (maybe scary) message my host sent me when he discovered I had unplugged his spy cameras… you'll have to read the article to find out what we were actually doing on New Year's Eve! n/nhttps://t.co/hcUZqzmF2s pic.twitter.com/7kn6AIbf2u
— Rogue P. Bigha????!! (@jeffbigham) 2019年1月15日
悪びれるどころかむしろ宿泊客を責めるような態度を示すホストに対して、Bigham氏は「100人の親友と一緒にドラッグ&乱交パーティを開いたか、もしくは子どもと遊び疲れて夜の9時15分にはもう寝てしまっていたか……私が大みそかに隠そうとしたのは確かにそのどちらかです」と皮肉たっぷりのコメント。また、部屋の使い方についてはチェックアウト時に撮影した写真を公開して否定しています。
Bigham氏がこの一件をブログで公開し、Twitterでも問題提起を行ったところ、AirbnbからBigham氏の下に「該当するホストの登録を抹消し、宿泊費用を全額返金する」という申し入れがあったそうです。Bigham氏はAirbnbからの返金を受け入れ、その全額を電子フロンティア財団に寄付したとのこと。
We can look into this for you. However, in order to do that we need to receive your Airbnb account information privately. Please send us a DM if you would like us to review the case. Thank you.
— Airbnb Help (@AirbnbHelp) 2019年1月15日
Bigham氏のケースにとどまらず、近年Airbnbではホストが部屋にカメラを設置して盗撮するケースが相次いで発生していて、ホストの情報モラルや宿泊客のプライバシー保護についての議論が沸き起こっています。例えば、2018年9月にはAirbnbを利用したカップルが部屋に置かれた目覚まし時計から隠しカメラを発見するという事件が報じられています。
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一方で、Bigham氏は、Airbnbの宿泊客の中にマナーを無視した使い方を行う者がいるために、ホストは監視カメラを部屋に取り付けざるを得なくなっていることも認めています。実際に乱痴気騒ぎを起こした宿泊客が部屋を汚したり近所トラブルを起こしたりしたために民泊を続けられなくなっているホストも現れています。
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AirbnbはCNETの取材に対して「私たちはプライバシーと安全を最優先事項としていて、この件の当初の処理対応は十分なものではありませんでした」と対応に非があったことを認め、「監視カメラがあることは部屋の情報リストに記載しなければならず、監視カメラの有無について宿泊客の同意を得る必要があります」と述べています。
Bigham氏は今回の件を受けてプライバシー問題について改めて考えさせられたそうで、「監視される世界の中で私たちがどのように生きていくのかを慎重に考える必要があります。すべてを簡単に記録できるからといって、必ずしも監視するべきというわけではありません」と述べています。
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