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生徒を立ち直らせ学校をよりよい場所にする「修復治療」とは?

by DoDEA

多くの子どもたちは学校へ行ってさまざまな教育を受け、集団生活の中でコミュニケーション能力などの社会的スキルを磨きます。しかし、子どもたちの中には学校になじめずに不登校になったり、退学してしまったりするケースがあるのも事実。そんな子どもたちを立ち直らせ、学校をよりよい場所にするためにはどうしたらいいのか、The Atlanticがまとめています。

How Restorative Practices Can Improve School Climate - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/education/archive/2019/01/restorative-practices-school-climate/579391/

Can Restorative Practices Improve School Climate and Curb Suspensions? An Evaluation of the Impact of Restorative Practices in a Mid-Sized Urban School District | RAND
https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR2840.html

2018年12月、アメリカ政府は180ページにも及ぶ「(PDFファイル)学校の安全に関する最終レポート」を発表しました。よりより学校の風土を築くための報告書内では、カウンセリングやメンタルヘルスサービスへのアクセスを向上させ、社会的感情についての学習を増やすなどの提言が行われていますが、「白人以外の生徒が罰せられる割合が白人の生徒よりも高くないかといった点に留意する」といったオバマ政権時代の提言は廃止されてしまったとのこと。

人種的マイノリティである黒人の子どもは、白人の子どもに比べて幼児教育を受ける機会が少なく、学校に入ってから困難に直面する可能性が高いそうです。そのため、調査によると黒人の生徒は白人の生徒よりも数倍ほど学校を停学になったり、退学になったりする割合が高いことがわかっています。

オバマ政権は2014年のガイドラインにおいて、生徒の停学や退学についての格差を解消しようと試みていました。ところが、トランプ政権は「生徒に対してどのような懲戒処分を与えるのかを決めるのは政府の仕事ではなく、教師の仕事である」と主張しています。二つの政権は問題に対する対応は違いますが、少なくとも「生徒に対する処罰は学校の風土に関係している」という点には同意しているそうです。


アメリカのシンクタンクであるランド研究所による研究結果は、学校の風土を改善することによって生徒の停学率を減らすことができると示唆しています。2013年、ピッツバーグの公立学校では生徒に対する処罰における人種格差を改善するため、生徒を処罰するのではなく生徒を立ち直らせることに焦点を当てた「Restorative Practices(修復治療)」という試みに注目しました。

ピッツバーグはランダムに選ばれた22の公立学校に対して補助金を出し、生徒に対して懲戒処分を課す代わりに修復治療を実践したとのこと。修復治療においては、生徒の人間関係やコミュニティ内のつながりを強化することが重要であるため、教師と生徒の間に信頼関係を築くことが目的とされました。そこで、教師は生徒に「この夏休みに何をしましたか?」といった無害な質問から関係を築き、数年をかけてより内面的な質問も行えるよう関係性を深めていったそうです。教師と生徒の関係性が深くなるにつれ、生徒は他の大人やクラスメートとも信頼関係を築けるようになるとのこと。

もちろん、修復治療は数日や数週間といった短期間で効果が出るものではありません。しかし、懲戒処分の代わりに修復治療が課されること、そして修復治療を受けた生徒たちは罰を受けそうな行動を控えるようになり、学校全体の風土が改善されていくとされています。

by Howard County Library System

治療の効果を測定するため、研究者たちは2015~2017年にかけて修復治療を実践した小学校・中学校・高校で調査を行っています。その結果、修復治療を実践した学校では生徒の懲戒処分が減っており、特に小学校での懲戒処分数減少が顕著にみられたとのこと。中でも黒人・低所得・女生徒といったグループにおいて懲戒処分が減少した他、暴力以外の行為による懲戒処分が特に減ったそうです。

また、「懲戒処分の代わりに修復治療を施すことによって学校全体のテスト成績が悪化する」といったネガティブな側面が確認されなかったともThe Atlanticは述べており、ランド研究所の研究者であるJohn Engberg氏は「懲戒処分に相当する子どもを学校に通わせても、それによって学校の学習環境が悪化するわけではないことを示しています」と話しました。

修復治療を実践した学校で働いていた教師は、「学校の風土がポジティブなものである」と評価しているとのことで、懲戒処分の代わりに修復治療を実践することで学校の風土自体を変えていくことができることを研究は示唆しています。一方で修復治療を取り入れたとしても学業成績が改善することはなく、修復治療があらゆる問題における万能薬ではないことも判明しています。修復治療の効果は中学校や高校よりも小学校において顕著に見られたとのことで、教育現場において子どもに対し早期の介入を行うことが、学生の停学や退学を食い止めるために重要だとThe Atlanticはまとめています。

by Province of British Columbia

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in メモ, Posted by log1h_ik

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