子どもには「文章を書く喜び」を与えてリテラシーを向上させることが重要
by JESHOOTS.com
文章を読み解いたり書いたりするリテラシー能力は、数学や理科など国語以外の分野の成績にも影響を及ぼす要因です。子どものリテラシーを増すために、「文章を書くことの喜び」を実感させて子どもの意欲を増す必要があるとThe Conversationがまとめています。
Where has the joy of writing gone and how do we get it back for our children?
https://theconversation.com/where-has-the-joy-of-writing-gone-and-how-do-we-get-it-back-for-our-children-101900
子どもが文章を楽しんで書くことは国語能力を向上させ、識字能力を高める効果があります。それにも関わらず学校では標準化されたテストによる国語能力の評価が重要視されており、教師や学校としてもテストでの成績を上げることに注力しがちになってしまう現状があるとのこと。
一般的にはエッセイや短い評論文、報告書や手順書といった文書がテストに出題されやすいことから、教師は子どもたちにこういった文書の作成について学習させようとします。しかし、これらの文書は実用的な利用に焦点が当てられたものに過ぎず、文章を書く本来の楽しさを子どもに伝える目的としては不向きです。
オーストラリア教育会議研究所(ACER)のCEOを務めるGeoff Masters氏は、教師や学校は柔軟性に乏しいカリキュラムに縛られていると指摘。決まり切ったテキストに重点を置いた文章執筆やリテラシーばかりを子どもに求めている現状を改善し、より開放的で革新的な教育を行うべきだと述べています。
by Nilufer Gadgieva
教師は国語教育における授業評価にもとづき、「生徒の文章を正しいものに改善する」ことに努めています。しかし、教師が持つ重要な役割は正しい文章を書くように子どもたちを指導するだけでなく、より多くの時間を子どもたちの個人的な文章を書くために割り当て、創造的でアイデンティティにあふれる文章を書く喜びを教えることだとのこと。文章は単に仕事のために必要なものだけでなく、自身のアイデンティティに関わるものでもあり、子どもが自由に文章を書くことは生涯にわたってリテラシーを向上させることにつながります。
教師は書き言葉と話し言葉、映像と音声など複数の要素が組み合わされた作文の作り方を教育したり、特定の流れに沿った文章を書かせたりして、子どもに文章執筆を教えることができます。また、詩や歌詞に短い作文、昔のことを思い返す回想録やマンガなど、さまざまな手段で子どもたちに文章や物語を書くきっかけを与えることが教師には可能です。
魅力的で楽しい文章を書くことが、子どもの文章執筆能力を向上させるのに大きな役割を果たします。教師はテストや仕事において重要になる国語教育だけではなく、「楽しいから文章を書く」という考えを与える方向にシフトするべきだとのこと。
by masterstudio
家庭でも子どもに書く喜びを教えることは可能。日記や個人的な雑記を書き記すきっかけを与えることで、日々の出来事や興味を持っている物事、空想や物語の執筆などに子どもが喜びを見いだすかもしれません。
また、学校でもテストや課題が終了した後の空き時間などを利用し、自分の好きなように文章を書く時間を教師が子どもに与えることができます。自由に執筆した物語をクラスで見せ合ったり、他の生徒が内容についてコメントしたりするといった授業を行うなど、教師が子どもに「書く喜び」を与えるためにできることは多岐に渡るとまとめられています。
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