オリンピックとFPSのような暴力的なゲームは価値観が相いれないとIOC会長が発言
by Sebastian Pociecha
2018年8月から9月にかけてインドネシアのジャカルタとパレンバンで開催された第18回アジア競技大会(アジア大会)で、デモンストレーション競技ではありますが、eスポーツが初めて採用され、「ウイニングイレブン2018」で日本が金メダルを獲得しました。
eスポーツはオリンピックの正式種目入りも期待されているところですが、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、暴力や差別を促進するゲームはオリンピックの価値観と相いれないと釘を刺す発言をしています。
Bach: No Olympic future for esports until 'violence' removed
https://apnews.com/3615bd17ebb8478ab534691080a9a32a
IOC uses silly excuse that esports are too violent for the Olympics
https://mashable.com/article/esports-thomas-bach-olympics-violence/
第18回アジア大会では「ウイニングイレブン2018」「クラッシュ・ロワイヤル」「ハースストーン」「リーグ・オブ・レジェンド」「Arena of Valor」「StarCraft II:Legacy of the Void」の6タイトルが採用され、日本からは国内でサービスが行われていない「Arena of Valor」を除く5タイトルに選手を派遣。「ウイニングイレブン2018」で金メダルを獲得しました。
決勝戦 日本対イラン、最終戦は相原(Leva)選手がイランReza選手を3-2で撃破!!
— ウイニングイレブン (@we_konami) 2018年9月1日
合計2-1(BO3)となり、ウイイレ日本代表が優勝!金メダルを獲得しました!#AsianGames2018 #アジア大会 #ウイイレ #eスポーツhttps://t.co/0dvMTha7SP
今回はあくまでデモンストレーション競技としての採用でしたが、2022年に中国・杭州で開催される第19回アジア大会では正式種目になることが決まっています。また、2019年に開催される「いきいき茨城ゆめ国体(第74回国民体育大会)/いきいき茨城ゆめ大会(第19回全国障害者スポーツ大会)」で、文化プログラムとして「都道府県対抗e-スポーツ大会」の実施が決まっています。
また、IOCとしても、2024年に開催されるパリ五輪での正式種目化を期待していることを公式に言及してきました。
国際オリンピック委員会がeスポーツの正式種目化を期待している、と公式声明の中で言及 - GIGAZINE
バッハ会長もeスポーツの正式種目化について前向きに検討すると発言してきましたが、アジア大会でAP通信の取材に応じ「人を殺すようなゲームは、オリンピックの価値観にはそぐわない」と発言しました。バッハ会長が1976年のモントリオール五輪に「剣を使って勝負をつける」フェンシングで出場して金メダルを獲得した点をAP通信が指摘すると、バッハ会長は「あらゆるバトルスポーツは人間の戦いに起源がありますが、スポーツはそれを『文明的』に表現したものです。eスポーツに『人を殺すようなゲーム』が含まれるならば、それはオリンピックの価値観とは一致しません」と語りました。
あくまで、バッハ会長が主張するのはFPSのように「相手を殺す」ことを目的としたゲームはいかがなものかということで、ウイニングイレブンのようなスポーツゲームや、大乱闘スマッシュブラザーズのような格闘アクションゲームまでダメだということではないとは思うのですが、せっかくeスポーツの機運が盛り上がってきたところでもあり、この意向が変な形で反映されなければよいのですが……。
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