生き物

人間の下半身で最後に進化したのは「つま先」だという研究結果


地球上に現存する生物で直立二足歩行が可能なのはヒトだけだといわれています。もともとは樹上で生活していた猿が進化の過程で地上に降りて2本の足で歩くようになるにあたって、最も遅くまで進化をし続けていた体の部位は「足のつま先」だったという研究結果が報告されています。

Evolution and function of the hominin forefoot | PNAS
http://www.pnas.org/content/early/2018/08/07/1800818115


マルケット大学のピーター・フェルナンデス博士率いる研究チームは、類人猿の化石から現代人に至るまでの足の骨を3Dスキャンし、比較を行いました。その結果、他の骨に比べて、足のつま先に当たる親指は進化のスパンが長かったことが判明しました。


二足歩行をするためには、まず最初に足の骨が二足歩行の生体力学的要求に適応するよう進化する必要があります。研究チームは、地上で効率的に移動するために現代に至るまで長く進化を続けた結果、足の親指の骨は体重を支えながら地面を蹴って推力を得るだけの剛性を手に入れたと論じています。フェルナンデス博士は「現代人は直立二足歩行でつま先を地面につけるために関節の安定性を高めましたが、木の枝をつかむような器用さは失ってしまいました」と語っています。


なぜヒトが樹上生活をやめて直立二足歩行に移行したのかはまだ謎に包まれていますが、「道具をもつために手を移動手段にするのをやめた」「気候変動で森林が失われた」「2本の腕で枝を持ってつかまり立ちをすることから自然と移行していった」などさまざまな説が唱えられています。「足の骨のうちで親指の進化が最も遅かった」という今回の研究結果から、初期の人類の足の構造は直立二足歩行に完全に適応しておらず、依然として物をつかむために足を使っていたということがわかりました。

研究チームは「初期の人類の足にはさまざまな機能が混在していた」と予想していて、フェルナンデス博士は「二足歩行の進化に伴ってどのような変化が起こったのかを特徴付けるために、親指以外の骨についても同様の分析を行うつもりです」とコメントしています。

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in 生き物, Posted by log1i_yk

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