サイエンス

2億5000万年以上前の化石に残った虫食い痕から「植物が葉を丸めて眠っていた」ことが明らかに


マメ科のネムノキなどを代表とする一部の植物では、夜になると花や葉が閉じる就眠運動がみられます。そんな植物の就眠運動が2億5000万年以上前から存在していた可能性があると、植物の葉の化石に残った「昆虫の食べた痕」から判明しました。

Specialized herbivory in fossil leaves reveals convergent origins of nyctinasty: Current Biology
https://doi.org/10.1016/j.cub.2022.12.043

Insect bite marks show first fossil evidence for plants' leaves folding up at night
https://phys.org/news/2023-02-insect-fossil-evidence-night.html

Plants 'slept' with curled leaves 250 million years ago, ancient insect bites reveal | Live Science
https://www.livescience.com/plants-slept-with-curled-leaves-250-million-years-ago-ancient-insect-bites-reveal

現代では一部の植物が就眠運動をすることがわかっていますが、はるか古代の植物も同様に就眠運動を行っていたのかどうかを知るのは困難です。中国の雲南大学で古代の植物と昆虫について研究しているZhuo Feng氏はある日、就眠運動で丸まった葉が昆虫にかじられた際、左右対称の特徴的なパターンができることに気づきました。

以下の写真に写っている葉は、左右で同じような形の穴が空いています。これは丸まった状態の葉を昆虫がかじり、重なった部分に同じように穴が空いたためできたものです。


就眠運動を行う植物ではこのように特徴的な虫食い痕が一般的なことから、Feng氏らの研究チームはギガントプテリス目という植物の化石に同様の虫食い痕があるかどうかを調査しました。ギガントプテリス目は大きなシダのような葉と木質の茎を持ち、頻繁に昆虫から食べられていたことがわかっており、ペルム紀末の約2億5200万年前に絶滅したとされています。

そしてFeng氏らの研究チームは、就眠運動を行う現代の植物に見られるような、左右対称の虫食い痕があるギガントプテリス目の化石を発見しました。Feng氏は、「(最初の化石を発見した時は)特徴的な虫害のパターンに驚き、化石植物の葉が丸まったことを示しているのではないかと思いました。しかし、念のためこの仮説を補強するような化石をさらに探してみたところ、同じ植物群の別種の化石標本から同様の食害痕が発見されました」と述べています。


Feng氏らは中国科学院西双版納熱帯植物園で就眠運動をする植物のサンプルや写真を調べ、葉に虫食い痕が発見されたギガントプテリス目が就眠運動を行っていた可能性が高いと結論づけました。論文の共著者でスウェーデン自然史博物館の古生物研究者であるStephen McLoughlin氏は、「私たちの発見は、通常と異なるアプローチに基づいています」「化石で発見された折り畳まれた葉は、就眠行動をしたから閉じたのか、死後にしおれて曲がったのか区別がつかないので、私たちは就眠行動をする植物特有の虫害パターンを探しました。その結果、この行動戦略の非常に古い起源を明らかにする化石植物の一群を発見しました」と述べています。

記事作成時点では、植物が就眠運動を行う理由について明確な解答は出ておらず、「温度調節を行うため」「葉の表面から余分な水分を排出するため」といった説があります。就眠運動は複数の植物グループで独立して、さまざまな時期に発生したことがわかっており、何らかの利益を植物にもたらすと考えられています。

今回の発見は、化石化した動植物からわかるのは構造だけでなく、行動特性の一部も推測できることを示唆するものです。Feng氏は、「葉の就眠運動の歴史は2億5000万年以上前、古生代後期の大きな植物にまでさかのぼることができます」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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