サイエンス

9500万年前の「足のあるヘビ」の化石が進化の定説を覆す


9500万年前に生息していた「足のあるヘビ」の頭蓋骨が、極めてよい状態で発見されました。この発見により、これまで信じられてきた「ヘビの祖先」の姿が否定され、新たな仮説が浮上しています。

New skulls and skeletons of the Cretaceous legged snake Najash, and the evolution of the modern snake body plan | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/5/11/eaax5833

Extraordinary skull fossil reveals secrets of snake evolution
https://theconversation.com/extraordinary-skull-fossil-reveals-secrets-of-snake-evolution-127307

Snakes had back legs for 70 million years before losing them, new fossil shows - CNN
https://edition.cnn.com/2019/11/20/world/snake-evolution-hindlimbs-scn/index.html


ナジャシュ・リオネグリナ」は2006年に発表された論文で初めて存在が明らかになった「足のあるヘビ」です。当時の発掘では、約9500万年前の断片化した頭蓋骨と共に後ろ足の骨が発見されました。ナジャシュは多くのヘビのように砂漠に生息するのでなく、海洋に生息するという点でもメディアの注目を浴びました。

ヘビの研究者は、ヘビがトカゲから進化したことや、その進化に頭蓋骨が大きな役割を果たしたことを理解していますが、2006年時点では断片化した頭蓋骨しか発見されなかったため、ヘビの頭全体の様子はわからないままでした。このため、新たに立体の状態で発見された状態のよい頭蓋骨は、ヘビの進化を明かす上で、非常に重要とのことです。


以下の写真がアルゼンチンで発掘作業を行う、当時ブエノスアイレス大学の学生だったフェルナンド・ガルベログリオ氏と、古生物学者のセバスチャン・アペステギア氏。


長年支持されてきた仮説では、ヘビは穴を掘って暮らしていた小さな盲目のトカゲが進化したものだといわれており、現存する中ではメクラヘビが最も原始的であるとされています。しかし、新たに発見されたナジャシュの化石はメクラヘビとは系統が異なるとのこと。ナジャシュは鋭い歯が並ぶ大きな口を持っており、関節のいくつかは現代のヘビと同様に動きます。一方で、典型的なトカゲの頭蓋骨と共通する特徴もいくつかあります。

進化論的にいうと、新たなナジャシュの化石は、ヘビの骨が大きな獲物を飲み込み消化できるよう進化していったことを示しているとのこと。


加えて、現存するヘビの目の後ろにある頬骨は、トカゲの祖先が持つ眼窩後の骨に由来すると考えられていましたが、新たに発見された頭蓋骨は、この可能性を否定しているとも研究者は述べています。「ナジャシュの新しい標本は科学が持つ『予測力』のいい例となります。ヘビにおける頬骨の存在は、発見されたデータが研究者の予測を補い、裏付けを行いました。そして、古い仮説が間違っていて、新しい仮説が認められたのです」と研究者はコメントしました。

ナジャシュの頭蓋骨から、ヘビの祖先はコモドドラゴンのような大型のトカゲに近かったと考えられています。また、これまで「足のあるヘビ」は足のない姿に適応するまでの過渡期にすぎないと考えられてきましたが、今回の研究で7000万年にわたって足を持っていたことも示されています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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