生き物

有史以前のヒトは現代を生きる私たちとどう違ったのか?人間の起源を解説したアニメーションムービー


地球が誕生してから現代までの歴史を1日24時間に置き換えると、「人類がアフリカから世界各地へ広がり始めたのは日付が変わる間近の23時59分58秒頃」という有名な例えがあります。宇宙規模で見ると人類の歴史は非常に短いものですが、先史時代のヒトの誕生から現代までは約600万年の歳月が流れています。そんな人類の進化がアニメーションムービーの「What Happened Before History? Human Origins」で分かりやすく解説されています。

What Happened Before History? Human Origins - YouTube


私たちは、スマートフォンや便利な交通網などが存在する現在の生活が、当たり前のことだと感じています。「人間はずっとこのような生活をしてきて、将来的にも同じような暮らしが続く」というように思われることもあります。


しかし、実際にはそうではありません。現代の需要に合わせて、あらゆるものが洗練されて技術が発達している時代は、これまでの人類史上には存在しませんでした。現代では、多くの人がぜいたくな暮らしを営んでいて、生き残るために必死になる必要はなくなりました。


食べ物、住居、安全性といった生活に必要なものは、大なり小なり「当たり前」のものだと考えられるようになってきました。


しかし、このような考え方は、人類の歴史全体で見るとごく最近になって登場したもの。人類史の99.99%以上において、人間の生活は現代のものとは全く異なっていました。


人類の歴史の始まりは、およそ600万年前にさかのぼります。


木の上で暮らしていた猿の中から、ヒト族(Hominini)が現れ、類人猿とは異なる特徴を持つようになります。


280万年前には、ヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)につながる種を含むヒト属(Homo)が誕生しました。


「ホモ・サピエンス・サピエンスが唯一の人類である」と言われることがありますが、これは事実ではありません。


ホモ・サピエンス・サピエンスが20万年前に誕生した際には、他にも少なくとも6種類の人類がいたと考えられています。


その中には大きく成功した人類もいました。ホモ・エレクトスは、地球上に200万年間も生息していて、これは現代人の誕生から現在までの時間と比べると10倍の長さです。


ホモ・サピエンス・サピエンス以外の人類は、1万年前を最後に姿を消しました。


なぜホモ・サピエンス・サピエンスだけが生き残り、他の人類が絶滅してしまったのかという原因は、今のところ分かっていません。


現代人は、ネアンデルタール人や他の人類のDNAを数パーセントながら受け継いでいることが判明していて、このことから人類とネアンデルタール人の間で交配を行っていたのは明らかです。しかし、種同士が合体するような大規模なものではなかったようです。


ホモ・サピエンス・サピエンス以外の人類は、食べ物などの資源を奪い合って絶滅したのかもしれないし、集団虐殺があったのかもしれません。


どちらにせよ、生き残ったのは私たちヒトのみでした。


人類の始まりへと話を戻します。280万年前、初期の人類は道具を使っていましたが、その後およそ200万年にわたって道具はほとんど進歩しませんでした。


道具が飛躍的に進歩しはじめたのは、人類が火を使うことを覚えた後です。火を使うことで食材を調理することが可能になり、より多くの栄養を取れるようになって脳が発達します。火は、明るさと暖かさも生み出したため、1日の活動時間が延びて、厳しい冬も過ごしやすくなりました。


捕食者を避けるために火は非常に有効的であり、狩猟にも火が活用されました。


30万年前には、異なる種の人類が、それぞれ小さな狩猟採集社会を作って生活するようになります。


火、木製の道具、石器、食料の備蓄、死者の弔いなどをはじめとして、それぞれの人類に固有の文化を持っていました。


この時代で最も重要なことは、人類がお互いに言葉を話していたということです。この時代に使われていた言語は、祖語と呼ばれ、現代の言語よりも簡素なものでした。


もしもタイムマシンが存在するとして、30万年前から子どもを連れ去って、現代で子育てをしたとしても……


現代人とは少し違う特徴を持つのではないか、と考えられています。


解剖学的に、現代のヒトはおよそ20万年前に誕生したことが分かっています。しかし、現代人と同じような行動を取り始めるのは、およそ7万年前からです。


20万年前の赤ん坊は遺伝子の突然変異が起こっておらず、現代の赤ん坊が言葉を学んだり物事を考えたりするのに不可欠な遺伝子が20万年前には欠けていたと考えられています。


およそ5万年前には、爆発的な革新が起こりました。道具や武器がより洗練され、文化はより複雑になりました。


なぜならば、この時点で人類は多目的な脳を発達させ、より円滑にコミュニケーションするために言語も進化したためです。


このおかげで、お互いに密に連携を取れるようになったため、この時点で地球上の他の動物とヒトを区別することができます。


ヒトは、他の動物よりも体が弱く感覚の鈍い生き物ですが、大勢のグループで柔軟に協力し合い、脳が発達したことで、これまでに不可能だったことができるようになりました。


例えば「魚を捕る方法などの知識を素早く伝達する」「祖先から受け継がれてきた知識を残す」「過去の知識をもとにして、より深い洞察力を得る」などが可能になりました。


脳が発達する以前の人類は、例えばリスが木の実を土に埋めて保存するのと同じように知識を遺伝子に蓄積しており、あまり効果的な方法ではありませんでした。


5万年前から1万年前までの間、人類の生活はほぼ変わらなかったようです。


人類の祖先は、まだ動物の一種にすぎませんでした。


5万年前の人類は、生き残ることに特化した生き物で、生活範囲の地理について熟知していました。


五感は周りの環境に対して調整されていて……


動植物に関する多くの情報を知り、記憶していました。


何年も訓練を積んで複雑な道具を作ることが可能で、運動技能も優れていて、グループで豊かな社会生活を送っていました。


サバイバルにはあらゆる能力が必要なため……


脳のサイズは現代人よりも大きかったようです。


集団として考えると、現代人の方が知識量は勝っていますが、個人としては初期の人類の方がたくさんの知識を持っていました。


1万2000年前ごろ、世界中のさまざまな場所で、農業が発達しはじめます。そこからすべてが急速に変わりました。


農業が発達する以前は、狩猟者と森で食べ物を探す人は、両者とも身体的・精神的な能力が不可欠でした。


しかし、農業の発達後、生き残るためにお互いの能力に依存できるようになりました。つまり、狩猟や農業を専門で行う人が登場したということです。


武器をより洗練したり、病気に強い穀物を育てたり、道具を発明したりといった専門的な仕事にも専念できるようになりました。


農業がどんどん効率的になっていくに従い、文明が登場します。


農業を行うことで、食料の量を予測できるようになり、人類史で初めて大量の食料を備蓄するようになります。また、穀物を大量に貯められるため、牛などの家畜も育てられるようになりました。


食糧倉庫は大勢で保護する必要があるため、人類は集団で狭いスペースで生活するようになりました。


初期の文明には防御用の施設が建設され、組織が成長していきます。


組織が大きくなるほど、成長スピードは速まります。村が都市になり……


王国になり、帝国へと成長。


文明が発達すると、人類同士のつながりが広がり、知識を交換する機会が発生し、人類全体が急速に進歩します。


約500年前、科学革命が起こります。数学、物理学、天文学、生物学、化学といった学問が、それまで人類が知っていた知識をすべて塗り替えていきました。


科学革命のすぐ後に産業革命が続いて起こり、現代世界の基礎を築き上げました。


現代でも革命は起こり続けています。コンピューターの発明は、メディアの革新へとつながります。


インターネットの登場により、現代世界が形作られました。


技術的な革命がどれほどのスピードで発生したのかを知るのは難しいものですが、世代数で例えると、人間の誕生から現在までは12万5000世代。


現代人と同じ身体的な特徴が誕生してからは7500世代。


500世代前には、農業が始まりました。


20世代前には、科学が誕生。


インターネットが普及したのは、たった1世代前のことです。


今日、人類は最も急激に変化する時代に生きています。人類は地球上の環境を変えて、他の動物の生存も脅かしています。


夜間に空を人工の照明でライトアップしたり……


人類を宇宙へ送り出して月面を歩いたり……


他の惑星にロボットを送り込んだり……


宇宙の過去について詳しく観測したりできるようになりました。


現代の高校生の平均的な知識は、数世紀前の学者の知識よりも巨大なものです。


人類自体は、7万年前の祖先と比べても、それほど変わっていません。


しかし、現代のような生活形式に変わったのは、人類史全体の0.001%以下です。


未来に一体何が起こるのかは分かりません。


それはさておき、もしも電車に乗り過ごしてしまったり、ハンバーガーを買ったら冷めていたり、行列に割り込まれたりしても……


現代の世界が人類史全体で見るとどれほど特別なのかを思い出してみることで、細かいことを気にしなくてもよくなることでしょう。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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