サイエンス

「運動後のストレッチ」の効果は私たちが想像するものとは違う、減量や健康のためにストレッチするべき理由とは?

by bruce mars

ストレッチの効果についてはさまざまな主張が行われており、「ストレッチは運動後の筋肉から乳酸を取り除く」と言われたり、「運動前のストレッチは逆効果」と言われたりしています。運動を行う人は果たしてストレッチを行うべきなのか?ということが、エモリー大学の准教授であるDavid Prologo氏によって説明されています。

Why stretching is (still) important for weight loss and exercise
https://theconversation.com/why-stretching-is-still-important-for-weight-loss-and-exercise-97814

筋肉を動かしてトレーニングをすると、燃料が使い果たされ、「廃棄物」が作られて、筋肉繊維が微小な傷によって破壊されます。パーティーに例えるなら、食べ物は食べ尽くされ、ナプキンやチキンの骨といったゴミが出て、テーブルのセッティングがぐちゃぐちゃになった状態です。次のパーティーを行うには料理を再び用意しゴミを捨て、テーブルを元通りにする必要があります。


このプロセスは筋肉でいえば「回復」にあたります。特に、短期間で何度もパフォーマンスを上げる必要がある運動選手にとって、回復速度を上げることは、非常に重要になります。

激しい運動でたまった乳酸や抗炎症マーカーを取り除き、筋肉の回復速度を上げるため、運動選手は凍結治療、マッサージ、圧迫、冷水にひたすこと、ストレッチ、高気圧酸素治療、電気的筋刺激など、さまざまな方法をとります。これらのうち一貫して効果が認められているのはマッサージのみであるというのが、これまでに行われた研究で示されているところ。実は、ストレッチは廃棄物である乳酸を取り除き、筋肉の回復を手助けすることに著しく「寄与しない」ことがわかっています。

しかし、多くの人々は運動選手のように誰かと競うために厳しいトレーニングをするわけではなく、その目的は「健康」や「減量」にあります。そのため、運動後のプロセスは「回復」ではなく、「体の改造」に焦点を当てる必要があるとのこと。

by mentatdgt

運動によって人の体の筋肉構造や代謝、生理機能は変化していきます。パーティーの例でいうと、最初は10個のテーブルしかない場所に500人の参加者がやってくるようなもの。1度目のパーティーでは十分な準備ができませんが、その後、次のパーティーに備えることでキッチンの効率性をあげテーブルの数を増やしていけます。これと同様に、運動によって体が改造されていけば、より多くの運動量を行えるようになるわけです。

35年以上にわたって行われた研究によって、運動によって体を改造する際に助けとなるのは「栄養を摂取するタイミング(特にプロテイン)」「運動の種類」「マッサージ」「睡眠」「低量のクレアチン摂取」、そして「ストレッチ」であることがわかっています。

最も広く認められているストレッチの効能は、骨と関節からなる関節可動域の向上や維持、そして結合組織の強化であり、これらは運動のパフォーマンスを向上させます。一般的なストレッチを数週間にわたって行うと、筋繊維が長くなるといったポジティブな変化があるといわれており、ストレッチによって運動中の動物の血行がよくなることも研究で示されています

「ポーズを30秒キープしてから次のストレッチを行う」という静的なストレッチを運動前に行うことは、運動中の筋肉の強度を弱めるという研究結果は確かに示されています。また、「長年信じられていたように、運動前のストレッチによってケガは防げない」という研究結果もでています。しかし、これらの研究結果は特定の状況化で示されたことであり、運動を行う多くの一般人にはあてはまらないとのこと。

次の試合に備えた運動選手であったり、ケガを防ぎ筋肉の強度を増加させたいプロのアスリートであれば、ストレッチには慎重になるべきです。しかし、健康や減量のために運動を行っているのであれば、筋肉のポジティブな変化を助けるストレッチは、長期的に効果を発揮するといえます。

by bruce mars

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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