サイエンス

「今年こそはやせる」と誓った人が30分のトレーニングで効果的に脂肪を燃やす方法を科学的に説明

by Tony Alter

カロリーを燃焼する方法はいろいろありますが、科学的にいうと、30分という時間枠での運動が最も効率的とされており、この方法は「高強度インターバルトレーニング」と言われています。高強度インターバルトレーニングの背後にある科学的な仕組みを理解すれば、自分に合った方法でトレーニングを行えるはず、ということで、ヘルス&サイエンスレポーターのKatherine Ellen Foley氏が効率的にカロリーを燃焼していくための科学を解説しています。

What's the best way to burn calories in a short amount of time? — Quartz
https://qz.com/1160945/the-scientifically-best-way-for-you-to-maximize-the-number-of-calories-you-can-burn-in-a-workout/

高強度インターバルトレーニングとは、不完全回復をはさみながら高強度・短時間無酸素運動を繰り返すトレーニング方法で、心血管運動の一種です。このトレーニングでは心臓と筋肉を両方鍛えていくため、心拍を上げ続けるべくランジとジャンプを組み合わせた「ジャンプランジ」やスクワットとジャンプを組み合わせた「ジャンプスクワット」などを行っていきます。

ジャンプランジは以下のような感じ。

Jumping Lunges - Alexandra Bring - YouTube


これがジャンプスクワット。

Jump Squat - YouTube


さらに、「バーピー」と呼ばれる方法もあります。

How to Do a Burpee - YouTube


見てもわかるように高強度インターバルトレーニングに含まれるものは非常に強度が高く、人によってはつらさを伴います。しかし、部分的に筋力を使い心臓血管系への負担が少ないウォーキングやジョギングよりもはるかに効果的とのこと。高強度インターバルトレーニングは心臓血管系と複数の異なる筋肉グループを最大限に使っていくためです。

◆私たちの体はどのようにカロリーを消費しているのか?
私たちの体は細胞レベルでカロリーを燃焼してエネルギーを生み出していますが、このプロセスは「どれくらいの酸素が利用できるか」に左右されます。

人は体に取り込んだ炭水化物をグルコースに変え、最終的に脂肪として体に貯蔵ますが、運動すると細胞はグルコースを分解してアデノシン三リン酸(ATP)に変えてエネルギーを生み出します。グルコースをATPに変えるプロセスには3つの異なる化学反応が含まれますが、全ての反応は酸素を必要とする「好気性代謝」です。テキサスA&M大学の運動生理学者であるRick Kreider氏によると、5kcalを燃焼するためには1リットルの酸素が必要になるとのこと。

そして、体幹・腕・足などについている筋肉は骨にくっつている拡張エンジンのようなもので、必要な時にすばやくATPを作り出してくれる構造を持っています。腕立て伏せやスクワットをすると体中の筋肉がエネルギーを消費してくれるので、体の各パーツの筋肉を育てることでより多くのエネルギー消費が可能です。


理論的に言えば、最大限の酸素を取り入れながら1時間運動すると人は2000~3000kcalを燃焼できます。

ただし、人間の循環系は一度に扱える酸素の容量に限界があり、実際には1時間で2000~3000kcalを燃やすことはできません。この「有酸素性作業閾値」を越えると、人間の体は「嫌気性代謝」という状態になり、筋肉はエネルギーを使うものの酸素の供給が行われなくなります。嫌気性代謝は好気性代謝に比べてATPを生み出さず、二酸化炭素・水・熱を生み出す代わりに乳酸を副産物として生み出します。乳酸は筋肉に痛みを生じさせるので、結果的に運動から遠ざかる原因にもなるとのこと。

しかし、嫌気性代謝の状態は最大180秒続きますが、あるポイントに到達するとスローダウンしたり代謝がストップします。これは進化的適応の1つだと考えられており、この状態になると再び体は酸素を循環できるようになります。

by Chevanon Photography

上記のことから考えると、運動時にカロリーをどれくらい燃焼するかは「エネルギーを消費しつついかに有酸素性作業閾値を最大化するか」と「体の構成」で決まってきます。

カロリーを燃やし続けるにはエネルギー消費を有酸素性作業閾値をわずかに下回る程度でキープし続ける必要がありますが、これは非常に難しいこと。ツール・ド・フランスのサイクリストは85~90%の運動強度で有酸素性作業閾値に達しますが、定期的にジムに行くなどして運動していない人の場合、60~65%の運動強度で有酸素性作業閾値に達してしまいます。そこで、筋肉に対して酸素を供給する力、つまり循環器系の能力を上げることで有酸素性作業閾値のレベルを上げる必要があります。そこで、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を付加的に行う必要がでてくるわけです。この時、循環器系の能力が上がっていけば上がっていくほど燃焼カロリーは減っていくので、負荷は徐々に上げていく必要があります。

もちろん、重い物を運べばそのぶんカロリーは燃焼するので、同じ循環器系の能力・同じ走行距離であっても、体重が重い人の方がより燃焼します。そして前述したとおり、筋肉が大きいということは「エンジンが大きい」ということなので、同じ体重であっても筋肉量が多い人の方がより多くのカロリーを燃やす能力を持ちます。「筋肉を使う」のはエネルギーを燃やす最速の方法であり、筋肉をつけると体重は増えますが、最終的にはより多くのカロリーを燃やしてくれる体を作ることができます。

つまり、結論として、30分の運動を行う時は循環器系を鍛える運動と筋力トレーニングの両方を行う方法を見つける必要があるということです。

高強度インターバルトレーニングは上記の両方を満たし、効率的にカロリーを燃焼してくれるもの。しかも、運動をあまり行わない人であれば自重を使ったランジ・腕立て伏せであっても「キツい」と感じるはずなので、ジムに行く必要もありません。限界と感じる運動を20秒続けて、次の10秒は休み、さらに20秒トレーニングするという方法を繰り返していけばOK。繰り返すことで、20秒の間により多くのトレーニングが行えるようになるはずです。


また、走ることの方が向いている人であれば、ランニング中、短時間だけ全力で走るという方法でもよいとのこと。階段を全速力で駆け上がって歩いて下りてくるという方法も高強度インターバルトレーニングに含まれます。また、Kreider氏によるとペースは週2回程度で十分だとのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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