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映画見放題サービス「MoviePass」はなぜ赤字を垂れ流しているのか?


日本ではNetflixHuluといった動画配信サービスが大きな人気を集めており、決まった定額料金さえ払えば、サービスに登録されている映画やドラマをスマートフォンやPCなどのデバイスから自由に試聴することが可能。一方、アメリカにはMoviePassという「定額料金を払えば映画館で1日1本まで映画が見放題」のサービスが存在しますが、MoviePassは経営状況が非常に厳しく、赤字を垂れ流している状態です。一体なぜそんなサービスをMoviePassが展開しているのかについてまとめたムービーが、YouTubeで公開されています。

The Shaky Economics Of MoviePass


MoviePassは月額制のサービスで……


月額9ドル95セント(約1100円)を払うことで、アメリカ中の映画館で映画が見放題です。映画は1日につき1本まで、事前にチケットを予約しておく必要があります。


映画が好きな人にとって、1カ月最大31本の映画を決まった額で映画館で見られるというのは、破格の好条件であるといえます。


しかし、そんなMoviePassの経営状況は芳しくないということも有名で……


クエンティン・タランティーノ監督の映画で流れる血のように、赤字を垂れ流しているともいわれています。


「なぜMoviePassが赤字になってしまうのか?」という問いに答えるのは簡単です。MoviePassの月額料金が9ドル95セントであるのに対し、アメリカの映画館における平均的な映画料金は9ドル16セント(約1090円)。MoviePassでは、ユーザーの映画料金を肩代わりする形でそのまま映画館に支払っています。


つまり、会員が月にわずか2回映画を見るだけで、大幅に赤字が出てしまう計算です。


加えて、ニューヨークやロサンゼルスのような都会では映画料金も高く、15ドル(約1700円)を超えるところもあります。そういった都市では、1回映画を見るだけで会員は月額料金よりも得することになります。


MoviePassの会員は300万人を超えるとされていますが、財政的には非常に厳しい状態が続いているとのこと。


平均的なMoviePass会員は月に1.5回の映画を見るそうです。


2017年にはMoviePassを運営する親会社のHelios and Matheson Analyticsが、実に1億5000万ドル(約165億円)の赤字を報告しています。


そして、2018年5月の報告では平均して1カ月あたり2170万ドル(約24億円)の赤字が出ているとのこと。


まさに経営状態は火の車。この時点で残り2カ月分の支払い能力しかないとされていましたが……


どうにか2カ月後の2018年7月に入っても、サイトは閉鎖されることもなく存続しています。


ギリギリの綱渡りを続けているMoviePassですが、どうにか持ちこたえられているのは出資者が資金を提供しているためです。


「収益が上げられていない」と聞くと、企業として問題があるように感じられてしまいますが、食材配達サービスのBlue Apron、オンラインストレージサービスのDropbox、配車サービスのUber、音楽ストリーミングサービスのSpotifyといった名だたる企業も収益が上がっていません。


実は、アメリカで2017年に株式を公開した108の企業のうち、4分の3は利益が上げられていないそうです。こういった企業は、「現状では赤字だが、ゆくゆくは収益を改善できる」という見込みのもと、赤字を出しながらも操業を続けています。


たとえばAmazonのような超巨大企業でも、総収入は右肩上がりですが収益という観点で見ると横ばいを続けています。


しかし、MoviePassのシステムではいくら会員が増えたところで、いつまでたってもコストに収入が追いつきません。むしろ、会員が増えれば増えるほど赤字が増えて行くことが予想されます。


もちろんMoviePass側もそのことは織り込み済み。


2017年8月の時点では2万人だった会員数は、1年もしないうちに300万人にまで増加しています。2018年のうちに500万人までユーザー数を増加させることを、MoviePassは目標にしているとのこと。


2016年の調査では、映画館に行く人のうち半数が、1年に映画館へ足を運ぶ回数は「3~6回」だと回答しています。こういったライトユーザーを手放さないためにも、MoviePassはむやみに値上げに踏み切れません。


MoviePassは赤字体質を改善するために、ユーザーの映画鑑賞データをアプリで収集する計画を立てています。


集められたユーザーのデータは、映画スタジオや広告会社に対して販売され……


映画館の近隣にある飲食店からも、ユーザーに対してアプリで広告を出すなどの形で、広告費を得られる可能性があります。


また、MoviePassは十分な規模の企業になった後、映画館や映画館周辺の店舗と対等に交渉できるようになると見込んでいる模様。そうなれば、チケット代のうちいくらかをバックしてもらえると踏んでいるとのこと。


映画館における収益の大半を占めるのが、ポップコーンなどを販売する館内の売店です。


映画館に行く回数が増えれば、それだけ売店で何かを買う可能性が高くなります。


今のところ、映画館ではチケット代の半分以上を映画スタジオに納めています。


MoviePassにより明らかに映画館に行く人が増えれば、それと同じように売店の売り上げの一部をMoviePassに納めるように交渉ができるようになるかもしれません。


MoviePassのような定額制サービスならば、人々はちょっとした気まぐれで映画館で映画を見る回数が増える可能性があります。


もっと多くの人々が映画館に行くようになり、MoviePass側に有利なデータがそろえば、MoviePassは収益の改善が見込めるかもしれません。


ユーザー数が何人まで増えればその段階までいくのか、今のところ誰にもわかりません。2000万人かもしれないし、1億人かもしれないのです。


そこまでMoviePassが持ちこたえられるのかどうかが重要な点になると、ムービーはまとめています。

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