Amazon株主がベゾスCEOに「政府への顔認識技術の供与をやめるべき」との要望書を提出
Amazonが開発する顔認識技術が政府関連機関に提供されていることが明らかになりましたが、これを問題視するAmazon株主が、ジェフ・ベゾスCEOに対して「Amazonの価値を貶めないためにも、政府への顔認識技術の提供を止めるべき」との書簡を送りました。
Amazon shareholders demand company stop selling facial recognition technology to governments | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/business/amazon-recognition-shareholders-jeff-bezos-letter-privacy-surveillance-facial-recognition-a8405221.html
Amazonが開発した顔認識技術「Rekognition」を警察に販売していたことについては、以下の記事を読めばわかります。
Amazonが顔認識ソフトを警察に販売していることが判明、国民の監視に乱用される可能性アリとして警鐘が鳴らされる - GIGAZINE
Independentが人権団体American Civil Liberties Union(ACLU)を通じて、19人のAmazon株主が、ベゾスCEOに対して、Rekognitionの政府機関への供与を止めるべきだとの書簡を送付したとの情報を得ました。
Rekognitionは、群衆の中に潜む指名手配犯を検出して検挙するための利用だけでなく、捜査機関が「事件などへの関与を警戒する人物」の行動を追跡して犯罪を予防する目的への利用も検討されている技術です。このため、Rekognitionの提供は政府による市民の監視を強力に支援してしまうという批判があります。
書簡でAmazon株主は、「Rekognitionが法執行の強化を目的にしているかもしれないが、最終的に市民権や人権を侵害する可能性があることを深く憂慮している。この技術は、肌の色や移民であること、市民活動を行っていることなどを理由に、人々を監視するために利用されることを懸念している」と述べ、Rekognitionの乱用的な使用によって市民の人権が脅かされ得ると問題点を指摘しています。
その上で、「政府の監視インフラ技術を強化することは、Amazonの持つブランド価値を棄損する可能性がある」とも述べています。なお、株主からRekognitionの政府への技術供与に対して懸念の声が挙がっていることについて、Amazonはコメントを拒否しています。
政府機関への技術供与への懸念の声は、AmazonだけでなくGoogleによる軍事技術の開発支援でも問題になっています。
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また、ユーザー情報の収集を防げなかったFacebookに対して、世界的な批判が集まったケースもあります。
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AmazonやGoogle、Facebookなど、高い技術力を持つハイテク企業の倫理面に対する利害関係者からの目は、日増しに厳しくなっているようです。
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