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Amazonが「警察による顔認証技術の利用を1年間停止する」と発表


現地時間2020年6月10日、Amazonが同社製顔認証技術「Rekognition」の警察による使用を1年間停止すると発表しました。

We are implementing a one-year moratorium on police use of Rekognition
https://blog.aboutamazon.com/policy/we-are-implementing-a-one-year-moratorium-on-police-use-of-rekognition

Amazon bans police use of facial recognition technology for one year
https://www.cnbc.com/2020/06/10/amazon-bans-police-use-of-facial-recognition-technology-for-one-year.html

Amazonが停止すると発表したのは、Rekognitionの警察による利用です。今回のRekognitionの利用停止処分はあくまで警察に限られるとAmazonは説明しており、行方不明の子どもについて国際的な捜査を行っている「Thorn」や「Marinus Analytics」のような保護団体については引き続きRekognitionを利用できると述べています。

発表に際して、Amazonは「政府が顔認証技術の倫理的使用を管理するための規制を強化すべきだと提唱してきました。1年間の猶予期間が、議会が適切な規則を構築できる十分な時間を与えることを願っています。我々は要請があれば協力する予定です」とコメントしています。


AmazonはRekognitionを少なくとも2018年から法執行機関に販売しており、「警察が扱うべき範囲を超える情報量を提供している」として多数の人権団体がAmazonを非難してきました。しかし、2018年11月時点ではAmazonは批判を受けても「法執行機関に顔認証技術の提供を続ける」という意向を示していました。

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しかし、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警察官によって拘束されたまま死亡するという事件が発生。警察や人種差別問題に対する批判が高まりました。Rekognitionが「他社製品に比べて黒人女性の顔認証制度が低い」という問題もあったことから、Amazonにも「警察に人種差別的なテクノロジーを販売している」という非難が集まりました。

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2020年6月1日にはAmazonはTwitter上で「黒人に対する不公平で残忍な扱いを止めなければなりません。私たちは黒人コミュニティ、つまり私たちの従業員、顧客、パートナーと連帯して、構造的な人種差別と不正に対する戦いに立ちあがります」と投稿しており、警察に対する顔認証技術の利用停止処分はジョージ・フロイド氏の死を契機に全米で広まっているブラック・ライヴズ・マター運動に配慮したものだと見られています。

pic.twitter.com/yI4MYEDz4C

— Amazon (@amazon)


Rekognitionと同様の顔認証技術を提供しているIBMは「テクノロジーが差別と人種的不平等を助長するために使われている」と懸念を表明し、汎用(はんよう)的な顔認証技術の市場から撤退する方針を明らかにしています。

IBMが顔認識市場から撤退を表明、「テクノロジーが差別と不平等を助長することを懸念」 - GIGAZINE

by Steven Lilley

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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