サイエンス

高精度の顔認識システムで絶滅の危機に瀕する霊長類を保護する取り組み



アフリカなどで野生のサルが密猟者によって捕獲され違法に売買されることで、絶滅のおそれがある種もいます。そんな貴重な野生のサルを、画像認識ソフトを駆使して保護しようという取り組みが行われています。

Face Recognition: Primates in the Wild
(PDFファイル)https://arxiv.org/pdf/1804.08790.pdf

Facial recognition software could help endangered primates, slow illegal trafficking -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/05/180524112345.htm

New Facial Recognition Software Tracks and Protects Endangered Primates
https://futurism.com/primnet-facial-recognition-primates/

マダガスカル島に生息するワオキツネザルなどのサルが、ペット目的で捕獲されて個体数を減らしています。中には絶滅の危機に瀕するサルもいることから、サルを保護する様々な取り組みが行われています。


野生のサルを保護するためには捕獲・観察をする必要がありますが、ケガをさせずに捕獲して追跡端末などを取り付けて再び野生に還す、というのはサルの心身にストレスを与えてしまい最悪の場合には死なせてしまう危険があり、また400ドルから4000ドル(約4万4000円から44万円)という高い費用が必要という問題がありました。

この問題を解消するために、ミシガン州立大学のアニール・ジェイン博士の研究チームが、画像認識ソフトによって捕獲することなく野生のサルを識別できるシステム「PrimeNet」を開発しました。


研究チームでは、ゴールデンモンキー、ワオキツネザル、チンパンジーの3種のサルの画像データセットを作成することからスタートし、作成したデータセットを使ってニューラルネットワークにトレーニングさせることでサルを認識させました。システムをより手軽に使えるように、対応のAndroidアプリ「PrimeID」も開発され、スマートフォンカメラで野生のサルを撮影してデータセットを効率的に作成したとのこと。

開発されたPrimeNetのサルの識別精度は90%近くを記録し、ワオキツネザルでは93.75%という高い精度を達成。これによって非侵襲的な方法で野生のサルを管理できるようになったとのこと。


今後はPrimeNetを活用したデータベースを充実させることで、取引されるサルが密猟者によって違法に捕獲されたことを判別できる追跡システムが構築される予定で、将来的な密猟を抑止する計画が立ち上がっています。

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