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シリコンバレーで働く技術者が見たスイスの就労環境の素晴らしさとは?


国や組織の中にいると気づかないことでも、その外に出てみると気づかされることが出てくるものです。就労のためアメリカからスイスへ短期間、移り住んだ技術者が、アメリカ・シリコンバレーに戻ってみて、アメリカの就労環境にある問題に気づかされると同時に、働き方だけでないスイスの環境の素晴らしさを指摘しています。

Forging a Swiss Lens: 3 Ways Zurich Changed My View of Silicon Valley | nextrends
https://nextrends.swissnexsanfrancisco.org/forging-a-swiss-lens-3-ways-zurich-changed-my-view-of-silicon-valley/

シリコンバレーで働く技術者のマシュー・デイターさんは、2年間スイスとルクセンブルクで働く機会を得ました。短期間の海外就労を経て、アメリカに戻ることになったときに、リクルーターから就労条件に関する面談で、「(転職先のシリコンバレーの企業は)多くの人が責任をもって週末にも働いている」と聞かされて、驚いたとのこと。デイターさんによるとスイスで務めていたスタートアップは、経営が危機に瀕していたときでさえも営業時間外のオフィスには誰もいませんでした。


スイスでの生活に慣れ親しんでしまったデイターさんは、アメリカでの生活との違いに戸惑うほどで、帰国した当初は「外国人」になったように感じたそうです。そして、スイスでの生活は半ば「強制的」かつ「人工的」なもので、そのおかげで個人レベルでの成長を余儀なくされ、さらには創造的になれたと感じたそうです。

スイスでの就労を体験したことで、スイス社会がもつ良い点について、デイターさんは以下の3点を挙げています。


1:狭い選択肢


スイス文化に根ざすのは「ルーチン」だとデイターさんは考えています。例えば、ごみ袋は特定のものが指定されており、列車は定刻に出発し、洗濯する日が割り当てられ、道路は決まった日に掃除されます。これらのルーチンワークは、スイス時計のようなもので、スイス文化の暗黙のスケジュールになっています。そして、ルーチンとして定まっていることは思考の必要性を排除するため、それ以外の物事に集中することを可能にするとデイターさんは考えています。

デイターさんに言わせれば、アメリカ・西海岸ベイエリアの食料雑貨では、ヨーグルトでさえ20種類が取りそろえられ、一見種類豊富で良いことにみえますが、実は商品を売る側の理屈が多分に反映されたものだとのこと。しかも、「定位置」が決まっていないため、無駄な注意を要求する「ノイズ」になりえるそうです。

定まった規則があり選択肢の幅が狭いことで、作業を効率化し迅速に結果が得られるだけでなく、集中すべきものに集中できるのだとデイターさんは述べています。

2:強力な公共インフラへの投資


アメリカで生活している間、デイターさんは「市場圧力が原因のコスト重視の姿勢ゆえに、公共サービスよりも民間サービスが上回っているのが当然」だと仮定していました。しかし、定刻通りに運行する公共交通機関や、私学に比べて圧倒的な安さにもかかわらず高い質の授業を提供する公立学校や、国民全員が加入させられる保険制度が提供する低価格の医療サービスなどをスイスやルクセンブルクの生活の中で利用すると、それまでの考えが一変したそうです。

公共の福祉を重んじて思い切った公共投資をすることで、信頼性と品質の高い持続的なサービスを生み出すことが可能だという考えに変わったデイターさんは、Uberのような配車サービスがアメリカで誕生し、便利だともてはやされるのは、そもそも公共交通のインフラが貧弱なことの裏返しでもあると考えるようになっています。

3:柔軟な勤務スケジュール


デイターさんによると、スイスで労働者は、フルタイムの給与水準を維持したまま、週に働く日数を自由に決定することができるとのこと。この制度は社会規範と結びついており、ストレスや燃え尽き症候群の発生を大きく軽減することに寄与しているそうです。

デイターさんがスイスで入院して働けなくなったときも、医療費は完全にケアされただけでなく、同僚は「いつ復帰するかは自分が本当に望むタイミングで良い」と強調してくれたそうで、就業スケジュールを柔軟かつ自分の意思で決定できるということは、仕事への復帰の大きな支えになったとデイターさんは述べています。

なお、スイスには失業時に、それまでの給料の70%を最大18カ月にわたって受け取れる手厚い失業保障制度があるとのこと。この制度は過度に寛容にも思えそうですが、失業率を高めることはなく、スイスはアメリカと変わらない失業率を維持しているそうです。巨大な社会のセーフティーネットがあることで、スタートアップで働くリスクを感じるのを軽減するとデイターさんは述べています。

そして、休暇の実態もスイスとアメリカでは大きく異なるとデイターさんは指摘しています。アメリカの西海岸ベイエリアの職場では、休暇をとった場合でも、メールなどで仕事への関わりが維持されてしまい、落ち着いた休息を取るのが難しいとのこと。スイスのように完全に仕事から離れられることで、創造性が高まり職場での集中力が増すとデイターさんは述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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