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働かなくても最低限のお金がもらえるベーシックインカムは「アメリカでは失敗する」とベンチャーキャピタルの社長が語る

By Pictures of Money

ベーシックインカムに強い興味を抱いているベンチャーキャピタル・Yコンビネータの2代目社長であるサム・アルトマン氏が、「アメリカではベーシックインカムが失敗する理由」を語っています。

Sam Altman explains how basic income could fail in America - Business Insider
http://www.businessinsider.com/sam-altman-how-american-basic-income-could-fail-2016-12

ベーシックインカムは、政府が国民に対して「最低限の生活に必要な資金」を定期的に無条件で支給するというもの。現在は構想の段階で、世界中の国や機関によってその有用性の調査と実験が進められています。生きていくために最低限の資金を与えることで、食べることに困らなくなり、「無意味な労働」が減ると考えられているベーシックインカムの詳細については以下の記事を読むとよくわかります。

働かなくても最低限のお金がもらえる「ベーシックインカム」構想が実現すると何が起きるか現実の都市でテスト - GIGAZINE


そんなベーシックインカムにはさまざまな機関が興味を示しており、スイスではベーシックインカム制度の導入を決める国民投票まで実施され、ベンチャーキャピタルのYコンビネータは2016年初頭にベーシックインカムの大規模実験を計画していることを発表しました。

そのYコンビネータは、2017年初頭にアメリカのカリフォルニア州オークランドで約100世帯を対象に毎月2000ドル(約23万円)を支給するベーシックインカムの実証実験を計画しています。Yコンビネータの目標は、「もしもベーシックインカムのように定期的に無料でもらえる資金がある場合、それらは人々が貧困から抜け出して健全な生活を送るための手助けになるのかどうか」を解き明かすことであり、そのために必要となるデータを実証実験を通して集めようというわけです。なお、既にケニアやホンジュラスといった発展途上国でも実験が行われており、それらを通して集められたデータから「ベーシックインカムが人々に利益をもたらすものである」という結果が出ているそうです。


しかし、アメリカと発展途上国とでは条件があまりにも違いすぎるため、アメリカ国内でベーシックインカムが導入された場合の影響はまだまだ未知数です。ベーシックインカムに対して懐疑的な人々は、「アメリカ人には仕事のために育まれた本能が存在しており、ベーシックインカムでもその本能を上書きすることは困難だろう」といった類いのコメントをしているわけですが、Yコンビネータのアルトマン氏もベーシックインカムに対してはいくつかの疑念を抱いているそうです。アルトマン氏は、「もしも機械による作業の自動化が進めば、我々は(ベーシックインカムを実施するのに)十分な資金を手に入れることが可能であり、機能すると信じている」と語っています。これはつまり、ロボットや人工知能の発展により人間の働き口がなくなれば、ベーシックインカムが機能するようになると考えているというわけです。

この考えは、大筋においてはテスラやSpaceXの創業者であるイーロン・マスク氏と同じもの。マスク氏は「オートメーションが進むことで、最終的に政府によるベーシックインカムやそれに類するものに落ち着く可能性は非常に高いと思います。私にはそれ以外の進む道が思いつきません。きっと起こるでしょう」と語っています。

「ロボットが人々の仕事を奪う将来は政府がベーシックインカムを払うことになる」とイーロン・マスク氏が発言 - GIGAZINE


なお、アルトマン氏は大多数のアメリカ人が最初のベーシックインカムが支給された直後から「家でVRヘッドセットを装着したまま何もせずに過ごすことに完璧に満足してしまうのでは」と予想しています。また、アルトマン氏は未来にはより良い刺激や適度な身体運動が必要であり、通勤したり同僚と話をしたりすることが必要なのでは、と疑問に思っています。さらに、アルトマン氏は「人間は仕事を通じてコミュニティーや交際関係を構築していきます。また、私が考えるに仕事は我々が国としての結束を強めることの一助にもなっている」ともコメントしています。

さらに、多くの人々は給料に関係なくより自分が満足できる職業に就けるようになるとのこと。つまり、ベーシックインカムが実現すれば人々がより自分の趣味に集中できるような社会を作り出すことも可能と考えられているわけです。そしてそうなったなら、VRが好きな人は自分の欲望を満たすままVRを楽しみ続ける未来が訪れる可能性も十分あります。

仕事を行うことで自分自身の価値を見いだす人々にとって、ベーシックインカムのような仕事の必要性をなくしてしまう制度はいらだちの対象にしかならないかもしれません。一方、日々の生活のために仕事している人々にとっては束縛からの開放であり、ベーシックインカムは既存の労働構造よりも本質的にアメリカ的な制度に見えるかもしれません。一般人にとっては「最も払いの良い仕事」ではなく「自分にとって最も重要な仕事」につけるような未来がやってくるのかもしれませんが、そういった未来はまだ到来しておらず、実現した場合にはどういった影響が出てくるのかも不明なままです。そのため、アルトマン氏は明確なデータがそろうまでは小さな実験を続ける、と語っています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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