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スマホやノートPCを入国時に検査するのは違憲だと電子フロンティア財団が立ち上がる

by U.S. Customs and Border Protection

アメリカ政府は旅行者がアメリカに入国する際に、旅行者のスマートフォンやノートPCといった電子機器を何の説明もなく、令状もなく検査し没収することをアメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)職員に対して認めており、これは「自由を侵害するものだ」として批判を浴びています。国境におけるデバイス検査は訴訟沙汰にもなっているのですが、電子フロンティア財団(EFF)もデバイスの検査を廃止すべく行動を起こしています。

EFF's Fight to End Warrantless Device Searches at the Border: A Roundup of Our Advocacy | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2018/01/round-effs-advocacy-against-border-device-searches

2017年9月に、アメリカへの入国審査で正当な理由なく携帯電話やノートPCなどを検査するのは違法だとして、アメリカ国民10人と合法永住者1人が国土安全保障省(DHS)に対して訴えを起こしました。原告の1人は出張先のドバイからアメリカに戻り入国しようとした際に仕事用・個人用の携帯電話を没収され、パスコードを教えた仕事用の電話は2カ月後に返却されたものの、パスコードを教えなかった個人用の電話は7カ月たった時点でも戻ってきていないとのこと。

米国民が政府を告訴、「入国審査時の不当な電子機器検査は違法」 | ワールド | ニュース速報 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2017/09/199530.php


このような国境を越える時のデバイス検査は個人の自由を侵害するとして問題視されているのですが、一方でアメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)は2018年1月4日に旅行者の電子機器検査に関する事項を含む新たなガイドラインを発表。

CBP Directive No. 3340-049A: Border Search of Electronic Devices | U.S. Customs and Border Protection
https://www.cbp.gov/document/directives/cbp-directive-no-3340-049a-border-search-electronic-devices

US Customs and Border Protection Publishes New Rules for Searching Electronic Devices
https://www.bleepingcomputer.com/news/government/us-customs-and-border-protection-publishes-new-rules-for-searching-electronic-devices/

ガイドラインでは、国境警察官はアメリカへ入国する旅行者の電子機器を検査できることを前提に、初めて「Basic Search(基礎検査)」と「Advanced Search(高度な検査)」を明確に定義しました。そして、ガイドラインによると、CBPの職員は疑いのあるなしに関わらず旅行者に基礎検査が行えますが、基礎検査で調査できるデータはデバイス上に保存されているもののみで、クラウドなどリモート環境にあるデータについては検査対象とならないとのこと。

EFFとアメリカ自由人権協会(ACLU)はアメリカ国民がCBP相手に訴えを起こした「Alasaad v. Nielsen」に関して訴訟事件摘要書を提出したと発表しました。デバイス検査によってCBP職員はデバイス内のメール・テキストメッセージ・写真・ブラウザの閲覧履歴などから、持ち主の健康状態・宗教・政治的信念・性的嗜好(しこう)までを知ることができます。摘要書の中でEFFは「令状なしに国境でデバイスの検査を行うことはアメリカ合衆国憲法修正第1条および第4条の侵害である」と述べ、プライバシーと言論の自由を侵害していると主張しています。

アメリカ入国に際して旅行者のデバイスを検査するという慣行はブッシュ政権下で誕生し、オバマ政権を経て、トランプ政権の下でも続いています。しかし、アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)によるとトランプ大統領が就任してから検査数が急増し、2012年では5085件だったのが2017年には3万200件に。約6倍という数字に跳ね上がっています。しかし、「国境で旅行者の電子機器を検査する場合、その動機となる令状が必要になる」ということは修正第4条の求めるところであると、過去の判例は示しています。

by Ali Yahya

EFFは摘要書を提出するのに加え、議会にProtecting Data at the Border Act(国境におけるデータ保護法)を通過させることを促しています。この法律の内容はアメリカ市民や合法永住者が持つ電子機器を国境で検査する場合、適切な令状を必要とするというものです。また、アメリカ市民がデバイスのパスワードやオンライン上のアカウント情報を渡すことを拒否した時に、入出国を拒否したり遅らせたりする行為を禁止するものでもあります。

さらに、EFFは旅行者が国境を越えようとした時に経験するかもしれないリスクを理解できるよう、トラベルガイドも発行しています。このガイドは旅行者が自分のデジタルデータを守れるようにするため、特定の状況になったときに取り得る選択肢を事前に示すものとなっているとのことです。

Digital Privacy at the U.S. Border: Protecting the Data On Your Devices | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/wp/digital-privacy-us-border-2017

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