LEDの光を使った作物栽培で小麦などを1年で6回も収穫できるようになることが判明


全世界の人口は増加の一途をたどっており、21世紀末の2100年ごろには112億人にも達すると予測されています。そんな将来の地球では全ての人が生きていくのに必要な食糧をいかに生産するかが問題となるとされているのですが、この問題を解決できそうな新しい耕作技術として、LEDの光を使うことで作物の成長速度を大幅に向上させる方法の研究が進められています。

Speed breeding LED technique grows food six times faster than conventional farming
https://www.zmescience.com/science/news-science/speed-breeding-led-crops-04352/

この研究を進めているのは、オーストラリアのシドニー大学、クイーンズランド大学、ジョン・インネスセンターなどの研究者によるチームです。チームの一員であるクイーンズランド大学のリー・ヒッキー博士によると、この研究はかつてNASAが進めていた宇宙船の中で作物を栽培する技術開発の後を受ける形で進められているとのこと。


使える空間が極めて限られる宇宙船の中で作物を育てる際には、面積または体積に対する収穫量の多さが重要になります。そのため、NASAではできるだけ少ない空間でより多くの作物を収穫する技術の開発に取り組んでいました。その技術を応用することで、地上でもより効率的に多くの作物を育てることで将来起こりうる食糧難を解決することが目指されています。

ここで使われているのは、光源にLEDを用いることで作物の成長速度を大幅に向上させるという手法。それぞれの作物に最も適した波長の光を照射することで、自然界では成し得ない速さでの成長を実現します。


LEDを使った促成栽培により、1年間で作物を収穫できる回数がセイヨウアブラナだと4回、そして小麦やヒヨコマメ、大麦の場合だと6回にものぼったとのこと。小麦や大麦などの作物だと「1年に1回だけ収穫」というのが最も知られたサイクルといえますが、わずか2カ月で作物が成長して収穫ができ、次の栽培に使える種子が採れるというのは、農業に革命を起こすといっても過言ではなさそう。

研究室では、作物に1日あたり22時間にわたって光を照射することで生育を早めることに成功しています。また、光源にLEDを使うことで従来の促成栽培で使われてきた白熱灯などと比較して電力エネルギーの節約にもつながっているとのこと。ヒッキー氏によると、現在は小麦と大麦を1平方メートルあたり900株の密度で栽培することに成功しているとのことです。


これまで、作物の収穫量を増やすための方法としては、害虫などに強い遺伝子組み換え作物を育てることが最も有力な方法とされてきましたが、LEDを使ったこの栽培であればさらに多くの収穫が可能になるほか、耕作地を立体的に配置することで耕地面積あたりの収穫量を文字どおり「倍々ゲーム」で増やして行くことが可能になりそう。また、一般的には作物を早く育てると栄養分が不足するなど、虚弱な作物が育つことが多いのですが、この方法であれば通常よりも栄養価の優れた作物を収穫することもできるとのこと。


今後は、研究チームはさらに技術の開発を進めてより確実な収穫を可能にするための手法を確立させる方針とのこと。人口が増大する今後の地球では食物が不足し、世界中の人がアメリカ人のように暮らすには地球が4個必要という考察結果も明らかにされているほど。農業に限らず、従来どおりの食物生産では追いつかない時代がもうすぐやってきそうな気配です。

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