iPhone Xの有機ELディスプレイに取って代わるマイクロLEDディスプレイのためにAppleがTSMCと協業か?
Melvin Thambi
Appleがリリースした「iPhone X」は、iPhoneシリーズ初のOLED(有機ELディスプレイ)採用端末です。しかし、Appleは今後数年以内にOLEDに取って代わると期待されているマイクロLEDディスプレイ技術の開発にも取り組んでおり、そのために台湾の電機メーカーTSMCと協業していると報じられています。
Apple reportedly whittles down Micro LED R&D team in Taiwan
http://www.digitimes.com/news/a20171117PD202.html
Apple reportedly working with TSMC on microLED displays expected to supersede OLED | 9to5Mac
https://9to5mac.com/2017/11/20/apple-microled-tsmc-collaboration/
ディスプレイ技術としては液晶の上位版にあたるOLEDですが、その主な利点を引き継ぎ、さらに優れた輝度・彩度・電力効率を提供することができるのが、マイクロLEDディスプレイです。そのマイクロLEDディスプレイの研究開発のために、Appleが台湾のTSMCと協業しているとDIGITIMESが報じています。
DIGITIMESが台湾のLED供給業者から入手した情報によると、Appleは台湾の龍潭区にマイクロLEDディスプレイの研究開発チームを組織しているのですが、マイクロLEDチップでのレシーバ基板へのマストランスファー(物質移動)技術に関する問題を抱えており、チームの規模を縮小することになったそうです。物質移動技術の開発が遅れることで、関連パネルメーカーがマイクロLEDディスプレイの量産を短期間で実現する妨げになると考えられているため、関係者は研究開発チームの人員を再編するようにとAppleを説得している最中とのこと。
しかし、台湾に設けられたAppleの研究開発チームについては、「AppleのマイクロLEDディスプレイは研究の段階をはるか以前に終えており、アメリカでさらなる開発が進められているので、台湾の研究開発チームを縮小しようとしている可能性がある」とApple関連のニュースメディア9to5Macは報じています。加えて、Appleは台湾のTSMCと協力してマイクロLEDディスプレイ用チップで起こる問題の回避を目指しているとも報じられており、シリコンウェハー上にデバイスを構築するという別の新たな解決法の開発に取り組んでいるとも報じられています。
Vlad Tchompalov
Appleは2014年にマイクロLEDディスプレイ開発のLuxVueを買収しており、これまで度々「新型Apple WatchはマイクロLEDディスプレイを搭載するのでは?」とウワサされてきました。OLEDの場合と同様に、マイクロLEDディスプレイはiPhoneに採用される前にApple Watchに搭載され、その後iPhoneにやってくると推測されています。
なお、iPhone初のOLED採用端末であるiPhone Xは、ディスプレイの初期不良で「謎の緑の縦線」が出現することが報じられており、この問題が原因でSamsungはAppleに違約金を支払うという事態にまで発展しています。関係者によると、iPhone Xの発売が遅れた原因のひとつに、Samsungが供給する有機ELディスプレイの「予想を下回る」品質があったともいわれているので、Appleが想像よりも早くOLEDからマイクロLEDディスプレイに乗り換えるという可能性も考えられます。
iPhone Xの初期不良「謎の緑の縦線」はAppleのせいなのかSamsungのせいなのか? - GIGAZINE
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