Airbnbが部屋の貸出を登録制にする法律は違法だとして市を訴えることに

by Chris Potter

旅行者に自宅の余っている部屋を貸し出すサービス「Airbnb」は、地元のホテル・観光業界からの反発が強く、一部の都市では貸出を規制する法律が制定されています。アメリカ・サンフランシスコ州でも2016年6月始めに「貸出を行うホストを登録制にする」という法案が可決されましたが、これに対してAirbnbは「法の制定は法律に違反する」として市を訴えています。

Airbnb Sues Hometown San Francisco to Block Rental Rules - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-06-27/airbnb-is-suing-hometeown-san-francisco-to-block-rental-rules

ニューヨークでは、30日以内の部屋レンタルをAirbnbなどに掲載した者に対し、1回目の違反では最高1000ドル(約10万円)、3回目には最高で7500ドル(約78万円)の罰金が科せられるという法案が可決されました。法案の可決は、議会が3万人のニューヨーカーを破産、立ち退き、差し押さえの危機に陥れる土壇場ぎりぎりの取引きをホテル業界と行った、としてテクノロジー業界から大きな批判を浴びています。

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これと同様に、Airbnbの創業地であるサンフランシスコでもホテル・観光業界や当局との攻防の結果、「Airbnbのホストは市に登録を行う必要がある」という法案が2016年6月7日に可決されました。法律はAirbnbを始めとする、不動産の短期貸し出しを行うサービスを規制するもので、未登録で貸し出しを行ったホストがいた場合、違反物件1件につき最高1000ドル(10万円)の罰金が組織に対して科され、罰金などの規則は7月終わりから施行されることになります。

Airbnbは6月27日に法案をめぐって法的措置を取ったことを発表し、「この不完全な法案について私たちは市と共に話し合いを行いましたが、残念なことに問題を解決するために連邦裁判所の介入を求めざるを得ませんでした。このような事態はAirbnbにとって前代未聞で、軽々しい行いではありません。しかし、これが我々のコミュニティーやゲスト、ホストを守るための最良の方法であると信じています」と語りました。

インターネット上の言論を保護するための法律・Section 230 of the Communications Decency Actは、「情報を保有するウェブサイトは、ウェブサイト上で人々が行ったり発言したりした活動について責任を求める法律から保護される」と規定しており、YouTubeやFacebookに違法なインターネットユーザーが存在しても法的責任を求められないという免責事項として機能しています。Airbnbは、今回の法案がSection 230 of the Communications Decency Actや、ユーザーのデータ保護を義務づける蓄積通信法、言論の自由にも反するとして訴えを起こしているとのことです。

サンフランシスコ市の弁護士広報はBloombergの取材に対し「これはユーザーコンテンツを制限するものではありません。プラットフォームを運営するビジネス活動を規制するものです。サンフランシスコ市はプラットフォーム運営に関して税金が収集されることと、貸出を行うホストが適正に認められているのか確認することを求めています。これは既に規制対象のビジネス活動には求められていることで、単純な義務です」とメールで回答したとのこと。

しかし、Airbnbは「この法案は、既存のシステムが現実には機能していないことを無視しており、Airbnbに頼っている何千人ものサンフランシスコ市民を害することになります」として、登録作業が複雑で面倒であることを主張しています。