Airbnbに都市は破滅させられるのか?
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by C.-04
現地の人と部屋を貸し借りできるサービス「Airbnb」は世界191カ国3万4000都市で利用され、今後も年々利用者が増えていくものと予測されています。既存のホテル・観光業界からの反発も多いAirbnbですが、「宿泊施設としての規制を受けないのは不公平だ」という主張だけでなく、「Airbnbによって観光都市が破滅させられる」という指摘まで行われています。
From Berlin to Barcelona; will Airbnb ruin our most loved cities? | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2016/jun/25/from-berlin-to-barcelona-will-airbnb-ruin-our-most-loved-cities
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「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」の例として挙げられることの多いAirbnbが公開されたのは2008年。今から8年前のことです。当時は創業者であるブライアン・チェスキー氏が試行錯誤をしながらサービスを改良しても、なかなかユーザーが増加しなかったのですが、Airbnbは近年になって急激な広まりを見せています。2016年時点のイギリスでは、見知らぬ人々に自宅を貸し出している人の数は5万2500人にも上り、年に46日の貸し出しを行うことで平均して約2000ポンド(約27万3000円)の収入を得ているとされています。イギリスの財務大臣ジョージ・オズボーン氏は、Airbnbやそれに類するサービスを利用することで、課税されることなく付加的な収入を得ることができると説明。またAirbnbは2016年開催のブラジル・リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック(リオ五輪)の公式サプライヤーにもなっており、2万室もの部屋を提供する予定と言われています。
もともとAirbnbは「部屋を貸してお金を得ながら友だちを作る方法」として生み出されたアイデア。現在でも多くの場合、ホストとなるユーザーは「自分の家の使っていないスペースを貸し出して、異文化の人々と交流しつつ、賃金を得る」というスタイルで、ビジネスとして部屋の貸し出しを行っていません。しかし、中には純粋に収入目的のために民泊サービス利用しているユーザーも存在します。
Airbnbを始めとする新しい宿泊サービスと、既存の観光・ホテル業界の対立は世界各国で起こっていて、英国旅行業協会のCEOであるマーク・タンザー氏は、Airbnbのようなサービスが広がることによって、歴史ある都市への観光客の流入が増加し、都市が破滅させられる可能性があると指摘しています。タンザー氏は有名な観光地における観光客の過剰な増加によって、観光客自身が十分に楽しめなくなり、「観光旅行が観光旅行をだめにする」という事態を懸念しているとのこと。
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by Ian T. McFarland
また、ペンシルバニア州立大学の行った調査では、Airbnbで物件を3つ以上扱っている「メガオペレーター」は人との交流のためではなくフルタイムのビジネスとして部屋の貸し出しを行っていることが判明しています。メガオペレーターはAirbnb全体の収入の30%を占めており、しかもその数をどんどん増やしていっているそうです。
オーストラリアのホテル検索サイト「YHA Australia」も同様の考えを持っており、Airbnbが「部屋をもてあました人々が異文化交流として部屋を貸し出す」のではなく、「宿泊施設の経営者が法規制を受けることなく違法な形態でホステルを営業する方法」として使われていると主張しています。
一方で、タンザー氏の指摘に対してAirbnbは「驚きではありませんが、地域住民へお金が支払われホテル以外の小さなビジネスを支援する新しい旅行業の形が攻撃されるのは残念です」と語っています。Airbnbは2015年末に、各都市の実情に合わせてコミュニティには宿泊税などを支払うよう促し、透明性がありオープンなシェアリング・コミュニティーを築くこと、そして都市を強くするような責任あるホームシェアリングを推進することをコミュニティ協定として掲げています。そして2016年6月始めに8500万ドル(約86億5000万円を)の宿泊税を回収・納税代行したと発表しており、法を破っているホストに対してはすぐさま対処を行っているという姿勢です。
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by Samuel Ryo
Airbnbと各都市のホテル業界・当局との攻防は絶えず、アメリカ・サンフランシスコでは宿の賃貸を年間90日以内に制限する法律が可決され、ベルリンでは不動産をまるごと貸し出すことが禁止されました。また、アイスランドではホストにビジネスとしての登録を強いる規制が検討されています。
なお、ニューヨークでは、30日以内の部屋レンタルをAirbnbなどに掲載した者に対し、1回目の違反では最高1000ドル(約10万円)、3回目には最高で7500ドル(約78万円)の罰金が科せられる法案が可決されました。この法案可決については、「オールバニ(ニューヨーク州の州都)の議会が、3万人のニューヨーカーを破産、立ち退き、差し押さえの危機に陥れる土壇場ぎりぎりの取引きをホテル業界と行ったことは、失望させられたが驚きではありません」などと批判が相次いでいます。
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in ソフトウェア, ネットサービス, ウェブアプリ, Posted by darkhorse_log
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