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新型コロナウイルスの流行とロックダウンのおかげで都市に住民が戻りつつある


新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けて世界の各都市で観光産業がストップしていますが、民泊サービスの「Airbnb」も例外でなく、サービスのほとんどが停止しています。しかし、これによって、これまで問題とされていた「民泊サービスの増加により住む場所がなくなった住民が都市から離れていっている」という問題の解決に糸口が見え始めているとのことです。

Airbnb slump means Europe's cities can return to residents, say officials | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2020/may/09/airbnb-slump-europe-cities-residents-barcelona-dublin


現地の人の部屋を間借りすることができる宿泊サービス「Airbnb」は「旅行に革命を起こした」と呼ばれるほど、ホテル業界と張り合うほどの影響力を持っています。「住民の部屋を借りる」ことのメリットは宿泊する側にも部屋を貸す側にもメリットがあり、宿泊する人はホテルとは違うローカルならではの体験ができ、貸す側は収入を生活費に足すことが可能です。しかし、近年ではもともと想定されていた「もともとの住民が自分の部屋の一室を貸す」というスタイルよりも、「不動産運用」の側面が強くなり、住宅の価格が高騰し、もともとの都市住民が都市に住めなくなるという問題も世界中で報告されていました。

しかし、2020年に入ってCOVID-19が欧米を中心に猛威を奮いだし、ロックダウンや航空業界のストップなどを受け、観光産業自体が大きなダメージを受けています。Airbnbも例外ではなく、CEOのブライアン・チェスキー氏は事態を「私たちの人生で最も悲惨な危機」と表現しました。確定していた宿泊予約が次々とキャンセルされることになり、2020年3月には宿泊者側が全額払い戻しを受けることが可能になりましたが、これにより当然のことながら宿泊場所を提供している側の「ホスト」から苦情が続出。3月30日にホストの経済的負担を軽減させるためのファンドの創設が発表されましたが、2020年4月になっても具体的な情報が提供されず、予約額のうち少額しかカバーされなかったこともあり、ホスト側は「Airbnbの発表は単なる宣伝のように見える」と述べています。なお、Airbnbは4月に10億ドル(約1080億円)の新規ローンを組んだことも発表しています。

Airbnb Gets $1 Billion Loan, Bringing Coronavirus Funding to $2 Billion - WSJ
https://www.wsj.com/articles/airbnb-gets-1-billion-loan-bringing-coronavirus-funding-to-2-billion-11586929819

Airbnb to make a quarter of its global workforce redundant | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2020/may/06/airbnb-to-make-quarter-of-its-global-workforce-redundant

Airbnb hosts getting almost nothing from $250 million relief fund
https://www.cnbc.com/2020/04/22/airbnb-hosts-getting-almost-nothing-from-250-million-relief-fund.html


一方、Airbnbの利用が減少したことによって、「都市に住民が戻る」という期待も大きくなっています。マーケティング会社・Transparentの報告によると、3月14日にスペインでロックダウンがスタートして以来、Airbnbのスペインでの予約は98%減少したとのこと。賃貸業者は観光による収入をあてにできないため、従来の賃貸市場に目を向けており、バルセロナ副市長であるジャネット・サンズ氏は「認可を受けた観光客向けのアパートの3分の1~2分の1は通常の賃貸アパートになることを期待しています」と語っています。また同様にAirbnbの影響を受けるパリの住宅担当副市長のイアン・ブロサット氏も「この機会を利用して、私たちはコントロールを取り戻すつもりです」と述べました。

Airbnbは「一部の市場では、既に将来的な成長の兆候が見られています」と述べており、COVID-19の収束後に再び観光業が盛り返すとの見方を示しています。一方で、サンズ氏は「都市を再考する機会です。私たちは長い間、バルセロナのランブラス通りやビーチの住人を取り戻したいと言い続けてきました。ビジネスには適合が必要です。現地住民が必要とするものを提供しなければなりません。それはサングリアやお土産ではないのです。観光客だけを狙ったモノカルチャーではうまくいきません」と述べています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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