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フォード社長が「Appleは自動車を開発している」と断言、はたしてライバルに勝てるのか?


フォードのマーク・フィールズCEOが、BBCのインタビューで「Appleは自動車を作っている」と断言しました。ハイテク企業だけでなく自動車メーカーのトップも注目するAppleの自動車開発の行方を占う上で重要となりそうな、ライバル企業のこれまでの動きをまとめるとこうなります。

Ford: 'We assume Apple is working on a car' - BBC News
http://www.bbc.com/news/business-36126591

フィールズCEOはBBCに対し、フォードがアメリカのビッグ3でT型フォードを生み出した自動車メーカーの老舗としてのフォードから、テクノロジー企業へ転換中であると述べました。「フォードの将来のライバルがGMやクライスラーとは限りません」と話すフィールズCEOは、シリコンバレー北部にあるパロアルトに建設したフォードテクノロジー研究所でシリコンバレーのテクノロジー企業と連携しつつ自動運転車を開発中で、フォードは自動車を核としつつも、人の生活を豊かにするさまざまな技術開発を行うという大きな改革を続行中とのこと。


インタビューでライバルがGM・クライスラーからGoogle・Appleに変わる可能性を指摘したフィールズCEOは、「私たちは、後者(Apple)は自動車を開発していると想定しています」と述べ、自動車分野でAppleがフォードのライバルになる未来を示唆しました。フィールズCEOが話すとおり、フォードのような自動車メーカーだけでなく、Googleのようなハイテク企業もこぞって参戦する自動運転車市場ではAppleがライバルになることは何ら不思議ではなく、フォードを含めて多くの自動運転車開発企業にとって、Appleは自動車を開発していることは公然の秘密であり、ライバルとして注視しているようです。

秘密主義を貫くAppleなので、自動車開発について正式なコメントはありませんが、EVを開発するテスラモーターズから人材を引き抜いたり自動運転車開発で提携を模索していたBMW・ダイムラーと交渉が決裂したと報じられたりと、Appleが電気自動車、それも自動運転車を開発していることは、シリコンバレーでは周知の事実と認識されています。そこでは、「Appleは秘密裏に進める自動運転車でライバル企業に打ち勝つことができるのか?」という疑問が出てくることも自然な流れです。

Appleのライバルとなり得るのはすでに同じ土俵で戦っているハイテク企業です。中でもGoogleはすでに自動運転車で公道試験を行いつつ、膨大なデータセンター資産を活かしたシミュレーションを行い、持ち前の人工知能技術を注ぎ込みながら、驚異的な速度で自動運転技術を確立しつつあります。

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中国のGoogleと呼ばれるBaidu(百度)も、自動運転の開発ではAppleに先行しています。Biduは早くから人工知能の開発に乗り出しその技術を自動運転車に応用させる取り組みを行っていました。そして、自動車メーカーのBMWと提携して自動運転車を開発し、すでに公道試験もクリアしています。

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さらに、Baiduはシリコンバレーに自動運転車を開発する拠点を開設。2016年中に100人以上の研究者・技術者をそろえて開発速度を向上させる計画を明らかにしています。

ハイテク企業と言えば、すでのEVメーカーとしての地位を築き上げたテスラも当然、Appleのライバルになっており、「半」自動運転機能「オートパイロットモード」をリリースし、普及価格帯の新型車「モデル3」でもオートパイロットモードを標準搭載する予定と、Appleに先行しています。

ついに「自動運転(オートパイロット)」を搭載したテスラ「モデルS」実車レビューいろいろまとめ - GIGAZINE


テクノロジー企業だけでなく「個人」で自動運転車の開発に参戦する猛者もいます。geohotの名前で知られる伝説的なハッカーのジョージ・ホッツは、アキュラ(ホンダ)の自動車をわずか1カ月で自動運転車に仕立て上げて、世界中の度肝を抜きました。

伝説的ハッカーが自動運転車をわずか1カ月で自作、すでに公道走行済み - GIGAZINE


ホッツはハイテクスタートアップへの投資で実績のあるベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィツから310万ドル(約3億4000万円)の資金提供を受けて、自動運転車コンバートキットを開発中。

26-year-old hacker gets $3M for self-driving car startup - Apr. 4, 2016
http://money.cnn.com/2016/04/04/technology/george-hotz-comma-ai-andreessen-horowitz/index.html


乗用車に取り付けることで自動運転車に変身するキットを激安1000ドル(約11万円)以下で開発する計画で、2016年内のリリースを目指しているとのこと。アンドリーセン・ホロウィッツのパートナーであるクリス・ディクソンを納得させたgeohotの手腕に期待がかかります。

ハイテク企業やハッカーが活躍する現状を、自動車メーカーが手をこまねいているはずもなく、ほとんどの自動車メーカーが自動運転車開発の重要性を認識して、独自に開発を続けています。


前述のフォードはすでに雪道での自動運転走行の実証実験を行っており、Googleと自動運転車開発で提携の噂も出ては消えるという状況です。BMWは前述の通りBaiduと自動運転車を共同で開発しており、ボルボも規制の緩い中国に100台のテストカーを持ち込んで、自動運転車の公道試験を行う計画です。

Volvo Drive Me Autonomous Driving Project - YouTube


日本では日産が自動運転車の開発に積極的ですが、トヨタも自動運転関連特許を多数出願していることから分かるとおり、自動運転技術は自動車メーカーにとっても極めて重要な技術に位置付けられています。

自動車メーカーだけでなく名だたるハイテク企業も参戦する自動運転車の開発競争にAppleが参戦するならば、どんな戦略を持って、他とは一線を画する独自技術で対抗するのか、Appleの正式な発表が気になるところです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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