Appleが自動車の開発用に広大な走行試験場と交渉していることが判明、走行開始は近い可能性も

2015年初頭からにわかに囁かれ出したAppleによるセルフドライビングカー自社開発のウワサですが、The Guardianが入手した公文書からはそれを裏付けるような動きが進められていることが判明しました。そこには、Appleによる開発は実車によるテスト走行がそう遠くない段階にまで進んでいる可能性が示されています。

Documents confirm Apple is building self-driving car | Technology | The Guardian
http://www.theguardian.com/technology/2015/aug/14/apple-self-driving-car-project-titan-sooner-than-expected

The Guardianは、公文書の管理について定めた法律「Public Records Act」にもとづいてカリフォルニア州に存在する施設に関する文書を入手。それによると、Appleはサンフランシスコ郊外に位置する「GoMentum Station」と呼ばれる施設をセルフドライビングカー開発の候補地として検討しており、すでにAppleのエンジニアとGoMentum Stationの担当者が打ち合わせを進めている段階に入っているとのこと。

GoMentum Stationは第二次世界大戦のころに使用されていた海軍の武器庫跡で、現在は軍による管理下におかれています。Appleが拠点を置くシリコンバレーからはわずか40マイル(約64km)という場所に位置しており、広さ2100エーカー(いわゆる東京ドーム181個分)という広大な敷地の中には一般道や高速道路が再現されており、Contra Costa Transportation Authority(CCTA)による運営の元でセルフドライビングカーや「コネクテッドカー(ネットワークに接続している車)」などの開発が行われる場所として利用されています。すでにこの施設では、メルセデス・ベンツやホンダなどの自動車メーカーが開発をおこなっているとのこと。

GoMentum Station - Redefining Mobility

シリコンバレー近郊の広大な敷地であること、そして軍レベルでのセキュリティが確保されていることからもAppleはこの施設の利用に高い関心を示しているようで、すでにGoMentum Stationの担当者とも施設のレイアウトや実際の写真などの情報提供を求めるなど、綿密な交渉に入っている様子です。5月末には、GoMentum Stationでセルフドライビングカー担当者がAppleのエンジニアであるフランク・フィアロン氏に宛てたメールの中で「案件を進め、御社のテストスケジュールを守るためにお会いしたい」と記していたことも判明しています。

この件に関し、Appleはコメントを発表していません。一方のCCTAの責任者、ランディ・イワサキ氏は、Appleと交わした秘密保持契約があるとして、「Appleがここにやって来たことと関心を示していることしか話せない」と語っています。

Appleはクパチーノにある本部から数マイル離れたサニーベールという都市に自動車開発拠点を置いているものとみられていますが、その詳細は依然としてベールに包まれたままの状態です。ほとんど情報が伝わってこない状況ですが、今回明らかになった動きからは、実際に車両を使った走行試験があまり遠くない将来に開始される可能性があるものとみられています。

なお、Appleの自動車作りにおける6名のキーパーソンにも含まれるデザイナーのマーク・ニューソン氏はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに対し、現在の自動車デザインを取り巻く環境について「イラつかせられる」と語っています。「かつてはよい具合に進んでいたこともあるが、いまは底辺のレベルだ」とするニューソン氏の発言が何を意味するのかにも関心が集まりそうです。

Designer Marc Newson on Fountain Pens and the Sad State of Cars - WSJ