テスラのマスクCEOが「Appleはテスラでダメだった技術者を雇い入れている」と発言

By Exploring Markets

新型EV「モデルX」の出荷開始が近づき、セルフドライビングカーを2015年10月に登場させるともみられている世界最大のEVメーカーであるテスラを率いるイーロン・マスクCEOが、Appleによるテスラの人材引き抜きに対して反撃とも取れる発言を行いました。その背景には、シリコンバレー周辺で激しさを増す自動車開発の状況が横たわっているようです。

Elon Musk on losing Tesla engineers to Apple car - Business Insider
http://www.businessinsider.com/elon-musk-losing-tesla-engineers-apple-car-2015-10

この発言はマスクCEOはHandelsblatt紙に語ったインタビューの中で飛び出したもので、Appleによる引き抜き工作について「Appleは私たちが雇った人材を引き抜いています。テスラではAppleのことをジョークで『テスラの墓場(Tesla Graveyard)』と呼んでいるぐらいです。テスラで成果を挙げられなかった者が、Appleに流れていくのです。これは嘘じゃありませんよ」と語っています。

All Charged Up in Berlin · Handelsblatt Global Edition
https://global.handelsblatt.com/edition/271/ressort/companies-markets/article/all-charged-up-in-berlin

They have hired people we’ve fired. We always jokingly call Apple the “Tesla Graveyard.” If you don’t make it at Tesla, you go work at Apple. I’m not kidding.

マスクCEOはまた、Appleが自動車の開発にかじを切ったことについて、iPhoneで大成功した会社にとって「論理的な次の一手」と語って理解を示す一方で、テスラの立ち位置を脅かすほどではないと考えているようで、「Apple Watchをちゃんと見たことはある？Appleが進んでいる方向性は良いと思いますが、自動車というものはスマートフォンやスマートウォッチに比べてはるかに複雑なものです。Foxconnのようなサプライヤーを見つけて『うちのためにEVを作ってくれ』と言うだけで完成するようなものではありません」と同じインタビューで語っています。

ライバルの台頭に強気な姿勢とも見られるマスクCEOの発言ですが、これまで他社のEV開発について「良い方向だ」と語ってきたことを考えると、その発言は意外にも感じられます。事実、ポルシェやアウディと言った企業のEV開発については「良い流れ」と発言していることからも、Appleに対する発言は特別の意向が込められていることは明らかで、その背景にはシリコンバレーを中心に繰り広げられる人材の争奪戦が存在しているとも考えられます。その一方で、テスラがAppleの人材を引き抜いていることもすでに報じられているとおり。

AppleでもEV開発の勢いは増しているとみられ、元フォードやメルセデス・ベンツのデザイナーやエンジニアが要職についていることが報じられています。

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また、Appleはカリフォルニア州にある施設を開発地として選定していることも報じられています。この施設では、ホンダやメルセデス・ベンツなどの自動車メーカーが開発を行っていることが知られています

Appleが自動車の開発用に広大な走行試験場と交渉していることが判明、走行開始は近い可能性も - GIGAZINE

マスク氏は以前、テスラからAppleへのエンジニア流出を否定していたことがありましたが、今回の発言からは実際に人材の流出がおこっていることが奇しくも明らかにされるという事態に。EVやセルフドライビングカーを取り巻く開発合戦は激しさを増しているとみられ、逆に一般ユーザーにとってはどのような車両が登場するのか期待が高まる状況ともいえそうです。