伝説的ハッカーが自動運転カーをわずか1カ月で自作、すでに公道走行済み


17歳にして世界で初めてiPhoneのSIMロックを解除し、その後も脱獄(ジェイルブレイク)界隈で名を上げ、プレイステーション3を誰よりも早くハッキングしてソニーに訴えられるなど、天才プログラマーにして伝説的なハッカーとして知られるジョージ・ホッツ氏が、なんと1カ月で市販車を改造し、自動運転カーに仕立て上げました。世界中の自動車メーカーやIT企業がこぞって参戦している自動運転カーの開発競争に天才がたった一人で殴り込みをかけるとこうなるようです。

George Hotz Is Taking on Tesla by Himself
http://www.bloomberg.com/features/2015-george-hotz-self-driving-car/

ホッツ氏が開発した自動運転カーが実際に自動運転する様子は以下のムービーで確認できます。

Meet the 26-Year-Old Hacker Who Built a Self-Driving Car... in His Garage - YouTube


自宅のガレージで自作の自動運転カーの前に立つ男性。


彼こそが伝説的ハッカーのホッツ氏。


ホッツ氏は17歳のときに世界で初めてiPhoneのSIMロックを解除したことをYouTubeで公表。凄腕ハッカー「geohot」として一躍有名になりました。


その後もプレイステーション3を誰よりも早くハック。海賊版ソフトが蔓延しかねない事態をまねき、ソニーに訴えられています。なお、和解の条件としてソニーが提示したのは「今後、二度とソニー製品をハックしないこと」だったとのこと。


自動運転とは何かについてレクチャーするホッツ氏。


第1段階がクルーズコントロールで、現在開発しているのは99%の運転操作をコンピュータ任せにできる第3段階とのこと。ちなみに第4段階が人間が乗らなくても走行できる状態です。


ホッツ氏の自宅併設のガレージにあるアキュラ「ILX」。約300万円の自動車を、わずか1カ月で自動運転カーに仕立てたとのこと。


ホッツ氏を取材するBloombergの記者が助手席に乗り込みます。まず目を引くのが21.5インチの液晶モニター。


中国製パーツはピラーにむき出し状態。


ルーフに取り付けられたセンサー。


メインマシンにはIntelの超小型PC「NUC」を利用しているとのこと。


家庭用のコンセントで自動運転モードを制御するPC・カメラ・センサー用のバッテリーを充電します。


「最近の自動車は高度にコンピューター制御されているので、コンピューターと変わらないよ」とこともなげに話すホッツ氏。ホッツ氏にすればiPhoneだろうがプレイステーションだろうが自動運転カーだろうがすべてハックする対象のようです。


運転席はこんな感じ。


ホッツ氏の開発した自動運転システムは、車体に取り付けた合計6つのカメラやセンサーからのデータを人工知能(AI)で処理します。


AIはドライバーの運転操作を「見て覚える」ことで運転を学習するとのこと。


自動運転モード切り替え操作に使うのはジョイスティック。


システムはLinuxで開発しています。


青いラインが実際の走行ラインで、緑色のラインがAIが学習の結果最適だと判断するライン。


というわけで自動運転のテスト走行へ。


自動運転のテストは高速道路で。なお、記者が初めて同乗走行したときに「初めて自動運転に成功したときどうだった?」と聞かれたホッツ氏は、「初めてテストしたのは今朝だよ」と答えたとのこと。


その初めての自動運転から2週間後の自動運転モードのテストが本日というわけです。なお、初走行時にハンドルのみ自動化されていたシステムを、ホッツ氏はこの日までにアクセル・ブレーキまで自動化させてきたとのこと。


いよいよ自動運転モード開始。


手ぶらで走行。


ハンドルはもちろんアクセルやブレーキペダルにも触れていません。AIはホッツ氏の運転から、前の車と後ろの車の中間を走行していること、前方の車が減速した場合でも一定の距離を保とうとする傾向にあることを学習した結果、アクセルワーク/ブレーキワークをこなせるようになったというわけです。


流れに合わせて自動運転をするホッツ氏。テストは見事に成功。


続いて記者も体験することに。


おそるおそるステアリングから両手を離して自動運転開始。


すぐに慣れてきた模様。


笑みがこぼれています。


そのうちには「運転はこうじゃなきゃね~」


走行データはすぐにホッツ氏の自宅に持ち帰って解析され、自動運転モードの進化に活用されます。


ちなみにホッツ氏はテスラモーターズのイーロン・マスクCEOに、「現在、テスラが利用している自動運転モードのソフトウェア『Mobileye』以上に優秀なソフトを作ったら数百万ドル(数億円)で買う」「っていうか、君はテスラに来るべき。来て!」と誘われていますが、「(すぐに優秀なシステムを開発して)Mobileyeをぶっつぶしたら、Pingを打って知らせるよ」と断ったそうです。


ホッツ氏がわずか1カ月で開発した自動運転カーの費用は5万ドル(約600万円)。そのうち3万ドルが自動車代なので純粋な開発費は2万ドル(約240万円)とのこと。ホッツ氏は全自動システムを1000ドル(約12万円)で直接売る予定で、「すでに10人は予約している人がいるよ」と話しています。


世界中の企業がやっきになって開発する自動運転モードを、たった一人で開発し、わずか1カ月でキャッチアップに成功したホッツ氏。テスラなどの企業から引く手あまたのホッツ氏ですが、あくまで自動運転カーの開発はAI開発の第一歩に過ぎず、「AI開発によって、心のこもった幸せなよりよい世界を作り出すのが目的」とのこと。現在、AIの開発に注力しているホッツ氏は今後25年でほぼすべての仕事をAIが担当することになると予想しており、「人間がする最後の仕事はAIプログラミングだろうね」と述べています。


ちなみにホッツ氏はマスクCEOと自動運転システムの開発で賭けをしているらしく、5カ月後にはマスクCEOに世界最高の自律走行システムを見せつける予定。「テスラのモデルSの自動運転モードはゴールデンブリッジの走行で悪評があるらしいので、ゴールデンブリッジを見事に走るムービーを撮るつもり。マスクCEOの住むロサンゼルスで最終テストする予定だよ」とのことです。


・つづき
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