南極の氷が一部分で増加していて、なくなった氷を相殺する可能性が浮上

by Reeve Jolliffe

南極大陸の氷床は地球上で最も大きな氷のカタマリなのですが、近年の地球温暖化の影響で氷が徐々に溶けてしまうという問題が発生しています。しかし、南極大陸のある部分では反対に氷の層が分厚くなっていることが明らかになりました。

Gains in Antarctic ice might offset losses : Nature News & Comment
http://www.nature.com/news/gains-in-antarctic-ice-might-offset-losses-1.18486


地球全体の気温上昇により、南極だけでなく北極近くのグリーンランドでも氷河が溶けるスピードが以前より速くなっているという問題が起こっていますが、南極大陸の東部で以前よりも氷の層が分厚くなっている部分が確認され、南極全体から溶け出している氷の量を相殺するのではないかという説が浮上しています。

NASAのゴダード宇宙センターで研究を行っている氷河学者のJay Zwally氏によれば、南極大陸の氷は溶けたり凍ったりを繰り返していて、長い間バランスが保たれてきましたが、近年の地球温暖化によって氷の溶けるスピードが以前よりも速くなっているとのこと。2012年の研究によれば、2003年から2008年の間に撮影された航空写真をもとに南極大陸の氷の量を計算すると、毎年720億トンの氷が溶けてなくなっていることが判明しています。

そんな中、Zwally氏は1992年から2001年にかけて欧州宇宙機関ヨーロッパリモートセンシング衛星が集めたデータと、2003年から2008年にNASAの観測衛星・ICESatが集めたデータを分析。すると、南極大陸全体で毎年820億トン分の氷が新しく生まれていることが分かったそうです。南極大陸の東側で最も多くの新しい氷が生まれており、次に西側が多いとのこと。

通常は、氷の上に降った雪が自重で固まることで氷河の層が形成されていくのですが、今回発見された氷の増加現象は、約1万年前に降った雪が氷の上でゆっくりと固まり、海にすべり落ちることで氷河の一部となっているとのこと。現在のところは、毎年氷河が数センチずつ分厚くなっているだけで、大きな影響は起こっていないのですが、数千年後には南極大陸の面積が広がっているかもしれない、とZwally氏は予測しています。

by David Stanley

しかし、Zwally氏は「地球温暖化否定説を支持する人たちは、これに高じて『地球温暖化の心配はありません』と言い始めるかもしれませんが、氷が増加している部分が見つかったからといって、南極大陸の問題がすべて解決したわけではありません。」と語ります。地球の気温が上昇するとともに、南極の氷が溶け出すことで南極大陸周囲の海面が上昇すると予想されていますが、地球温暖化が南極大陸に影響を及ぼす正確な時期や影響の程度はいまだにはっきりと分かっていません。

なお、NASAの人工衛星GRACEが収集している最新のデータからは、南極大陸の氷は今後も溶け続けることが予測されていて、単純に「地球温暖化の影響で溶ける氷の量を、古代の雪が凍った氷で相殺する」というわけにはいかないようです。

by Liam Quinn

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log