サイエンス

南極大陸の棚氷に入った巨大なヒビがどんどん大きくなっていっている

by Anne Fröhlich

南極大陸で4番目に大きな棚氷であるラーセンC棚氷に入ったヒビが巨大化しており、このヒビによってラーセンCが数年内には崩壊する可能性が大きいことが判明しました。ラーセン棚氷は1万2000年もの歴史を持つものも存在しますが、近年は南極半島での地球温暖化の影響で崩壊スピードが急激に上がっています。

A huge crack is spreading across one of Antarctica’s biggest ice shelves | Toronto Star
https://www.thestar.com/news/world/2016/08/22/a-huge-crack-is-spreading-across-one-of-antarcticas-biggest-ice-shelves.html

ラーセン棚氷は北から南に向かってラーセンA、ラーセンB、ラーセンCと呼ばれています。ラーセンAは2000年以上前から存在されていたと推定されていますが、1995年に崩壊しました。1万2000年もの歴史を持つラーセンBはまだ存在しているものの、2020年には消滅してしまうと見られています。

南極大陸の棚氷が終わろうとしている - GIGAZINE


そして新たに、ラーセンCのヒビが巨大化し「近いうちに消滅してしまうのではないか」という予測が行われています。ラーセンCに入った亀裂は以前から確認されていましたが、2011年から2015年にかけて亀裂の長さが30キロメートルも伸び、亀裂の幅が200メートルになったことが報告されていました。そして、2016年3月に行われた観測で、亀裂の長さがさらに22キロメートルも長くなり、幅は350メートルにまで大きくなったことが判明。2016年8月時点で亀裂の全長は130キロメートルにも及ぶとのことです。


今回ラーセンC棚氷の観測を行ったのはBritish Antarctic Surveyが設立したMIDASという研究グループ。MIDASの研究者らは、この亀裂によって将来的にラーセンC棚氷の9~21%が失われると見ています。

失われる氷の面積は6000平方キロメートルほどで、これはカナダのプリンスエドワード島よりも大きなサイズ。島1つ分の棚氷が失われるということになります。研究グループの一員であるスウェンジー大学の氷河学者・O’Leary教授は「亀裂が広がるタイミングを正確に予測することは地震予測と同様に難しく、棚氷の崩壊がいつ生じるのかを伝えることはできません」と語っており、今日明日で起こることではないものの、数年内には崩壊が生じると見ているようです。また、ラーセンCの先頭の氷が崩壊すると、残りの棚氷が不安定になり、さらなる崩壊が生じると見ている研究者も多く存在します。

ラーセンBは1980年代に大規模な棚氷の崩壊を起こしてから、断続的に残りの棚氷が崩壊し続けており、2002年だけで3275平方メートルの面積の棚氷が失われました。ラーセンCの崩壊はラーセンBの崩壊と似ていることから、数年後には消失すると見られているラーセンBと同じく、ラーセンCが消えるのも時間の問題とのこと。

棚氷は全体が海上に露出しているため、崩壊によって即座に海面が上昇するというわけではないのですが、海流のスピードを上げることで最終的には海面レベルの上昇を助長するものと見られています。ただちに海面レベルの急上昇をもたらすわけではないこともあり、ラーセンC消失については「地球環境に対し重大な影響を与えない」と見ている研究者も存在しますが、ラーセンC全体が崩壊することで海面レベルが10センチメートル上昇すると見ている研究グループも存在し、実際に崩壊が起こるまで地球に対する影響は未知数となっています。

by Amanda Graham

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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