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南極大陸の棚氷が終わろうとしている

by Amanda Graham

2002年に部分的に崩壊した南極大陸のラーセン棚氷Bが、2020年には完全に消滅してしまうことが研究で明らかになりました。棚氷があることで氷河は南極大陸上に留まっているのですが、棚氷の崩壊により、氷河の海への流出が続いています。

JPL | News | It's the Final Act for Larsen B Ice Shelf, NASA Finds
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=4589

The evolving instability of the remnant Larsen B Ice Shelf and its tributary glaciers
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012821X1500151X

崩壊していくラーセン棚氷の様子は以下のムービーから見ることができます。

Antarctica’s Larsen B Ice Shelf: The Final Act - YouTube


ラーセン棚氷は南極半島東岸にある棚氷。


ラーセン棚氷はA・B・Cの3つで構成されていますが、2002年、棚氷Bの3分の2がわずか6週間たらずで崩壊しました。2002年1月31日の画像では棚氷の輪郭がくっきりと見えていますが……


2月23日の画像では、棚氷が崩れだしたことが分かります。


2002年3月7日。どんどん崩れていっています。


4月13日。棚氷は南極大陸から氷河が流れ出さないようにする門番の役割を果たしていますが、その棚氷がなくなることで、氷河が海へと流れ出していっている様子が見て取れました。


ラーセン棚氷が断片化し流れていっているのを発見したのは、NASAジェット推進研究所のAla Khazendar氏が率いるチーム。NASAは航空機を使って地球上の氷の動きを観測するOperation IceBridgeというプログラムを行っていますが、Khazendar氏らがOperation IceBridgeで得たデータを元に調べたところ、断片化した氷河は海へと流れ出る速度を上げ、どんどん溶けて小さくなっているとのこと。


ラーセン棚氷は2020年には完全に消滅すると予測されています。


これまで、棚氷が薄くなり海へと流れ出すスピードは最初の2年で少し変化しただけだと考えられていましたが、今回の調査で、この十数年の間でかなり加速が進んでいことが分かりました。場所によっては、車が時速89kmから時速708kmになるのに匹敵するほどの加速も見られたとのこと。


現在残っているラーセンBの大きさは1600平方キロメートルで、最も分厚い部分は厚さ500メートル。海洋に氷河が流れて溶けていってしまったことで、今後、海面の高さが上昇すると予測されています。


「巨大な棚氷が崩れていく様子を目の当たりにできるのは、科学者にとっては非常に魅力的ですが、1万年以上存在した棚氷が消えそうになっているという状況は、地球にとっては悪いニュースです」とKhazendar氏は語りました。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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