スイス国営郵便がドローンによる郵便配達試験を開始へ、およそ5年で運用開始を目指す
スイスの国営郵便事業会社「Swiss Post(スイスポスト)」が、ドローンを使った郵便物配達の運用試験を近日中に開始すると発表しました。同社ではおよそ5年後の運用開始を視野に入れて開発を行うこととしています。
Switzerland begins postal delivery by drone | Technology | The Guardian
http://www.theguardian.com/technology/2015/jul/08/swiss-post-begins-testing-postal-delivery-by-unmanned-drone
発表を行ったスイスポストではドローンを使った小荷物の配達試験を2015年7月末頃をめどに開始することにしており、試験機の画像があわせて公開されました。同社の幹部によると、試験機ではまず荷物の配達に関する基本的な能力試験が行われる予定になっていますが、実際の運用が開始されるのはおよそ5年先になる見通しだとのこと。
試験機の機体はこんな感じ。白い機体からは4本のアームが伸び、それぞれにプロペラとY字形の保護用ガードと思われる構造物が備わっています。機体の中心部分は大きな空間が設けられており、「SWISS POST」と書かれたオレンジ色の運搬用ケースが搭載されるようになっています。
スイスポストの発表によると「ドローンは極めて軽量な構造を持ち、1度の充電で1kgの荷物を最長で10kmの距離にまで運搬することが可能」とされています。同社はまた、「ドローンは安全に設定されたフライトパス(飛行経路)に沿って自律的に飛行します。フライトパスはMatternet社が開発したクラウドソフトウェアによって作成されることになります」と発表しています。
スイスポストはこのプロジェクトを民間航空会社・スイス・インターナショナル・エアラインズの貨物部門である「Swiss WorldCargo」と共同で進めており、「およそ5年先の運用開始までの間には、解決されるべきさまざまな要件を明確にする必要があります」として、徹底した検証を行った上で運用を目指す予定であることを強調しています。この5年間ではまた、国内全土でドローンを飛ばす際に適用される法規制の枠組みに関する詳細な調査も行われることになっているそうです。
現在のところ、スイスポストはドローンの運用について緊急時における活用を主に考えているとのこと。アルプス山脈のような山岳地帯を多く持つスイスでは都市部から離れた地域に村落が多く点在しており、災害の際に寸断された交通インフラに変わる運搬手段としてのドローン活用に期待を寄せているとしています。さらに、早急な対応が求められる研究室レベルの実験結果など、緊急性の高い委託物を迅速に運搬することも現実的に考えられる運用方法の1つとして想定されているとのこと。
ドローンを使った貨物運搬については、アメリカのAmazonがテスト飛行に向けた取り組みを進めていることがよく知られていますが、国営企業レベルで同様の試みが開始されるのは興味深いところ。国家レベルに近いところで進むとみられる「ドローン郵便配達」の開発がどのように進むことになるのか、世界からの注目が集まることになりそうです。
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