ホワイトハウスにドローンを墜落させたのは酔っ払ったシークレットサービスだったことが判明、その後の対応の数々は

By Richard Unten
2015年1月26日早朝、ホワイトハウスの敷地内で一機のクアッドコプターが墜落していたことが判明しました。大統領の身を守る警備の網をすり抜けてドローンが侵入したあげくに墜落するという事態に関係者は騒然。厳戒な警備体制が敷かれて調査が行われたのですが、後にこのドローンを操縦していた人物が酒に酔ったシークレットエージェントの1人だったことが判明しています。
White House Drone Crash Described as a U.S. Worker’s Drunken Lark - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2015/01/28/us/white-house-drone.html
'Quad Copter' Flew Into, Crashed On White House Grounds, Secret Service Says : The Two-Way : NPR
http://www.npr.org/blogs/thetwo-way/2015/01/26/381550369/device-possibly-a-small-drone-discovered-on-white-house-grounds
事件は1月26日、午前3時8分頃の出来事でした。建物の警備にあたっていたシークレットサービスの一員が、幅およそ2フィート(約60cm)のクアッドコプターが敷地内を低空飛行しているところを発見。事態を受けてホワイトハウスはただちに警備体制に入り、後にこの機体に危害を及ぼす危険性がないことが確認できるまで建物は完全封鎖されることになりました。
その後、クアッドコプターは敷地の南側に墜落していたところを発見されました。当局が公表した写真からは、その機体が一般に市販されて誰でも入手できるクアッドコプター「DJI Phantom 2」であったことがわかっています。

当時、オバマ大統領とミシェル夫人はインド外遊中のために不在で、2人の娘も祖母の家に出かけていたために騒動に巻き込まれることはなかったとのこと。要人の身に被害がなかったとはいえ、緊急事態を受けて当局では即座に捜査を開始して事態の解明を急いでいたところ、思わぬところからその全容が明らかにされることになります。
事件発生から約6時間後の午前9時30分、シークレットサービスのオフィスに一本の電話が入りました。電話をかけてきた相手は組織に所属するエージェントの1人だったのですが、なんとこのエージェントが騒動に関与していたことを自供。事件当時は非常に酒に酔った状態で、友人が所有するクアッドコプターをホワイトハウスのすぐ近くにあるマンションから操縦していたところ、コントロールを失って墜落させてしまったということが判明しました。
調べに対してこのエージェントは、あくまでフライトは遊びの一環で行ったものであり、攻撃の意図はなかったことを説明したとみられます。セキュリティ上の理由か、事件を起こした職員の氏名や役職、そして処罰の有無やその内容は明らかにされていません。なお、ホワイトハウス近辺は航空機の飛行が制限されており、ワシントンではドローンを飛ばすことは違法な行為とされています。

By Jim Drought III
当事者が判明し、全貌も明らかになったことから事態は表面的には沈静化したといえますが、この一件が及ぼす影響は計り知れないものがあるといえます。ホワイトハウス周辺には防衛用のレーダー網が張り巡らされているのですが、これはあくまでもミサイルや航空機のような物体に対するものであり、近年になって急激に広まったドローンのような装置には対応できていないことが浮き彫りになったわけです。
しかし、クアッドコプターのようなドローンが全て脅威であると判断するのはやや早計といえます。従来の技術では成し得なかった飛行能力は多くの可能性を秘めているといえ、以下のCNNに対するオバマ大統領のインタビューにもあるように、ドローンには農業分野への応用や野生動物の保護などにも大きな役目を果たすことが期待されている側面もあります。
Obama: We need more drone regulations - CNN.com
http://edition.cnn.com/2015/01/27/politics/obama-drones-fareed/

一方で、これらの新しい技術に対して社会が追いついていないというのも事実。大統領は同じインタビューの中で、現在の状況を「コンピューター分野の急激な進化に対応しきれていない法整備の状態」と同じであると語り、「メリットを享受し、悪いものを少なくする」ための枠組みが必要だと示唆しています。
アメリカ連邦航空局(FAA)は、急増するドローンの安全性について考えてもらうために以下のようなムービーを作成しています。
Know Before You Fly - YouTube

クリスマスギフトなどで、ある日突然ドローンが自分の物になることが増えてきました。誰にでも簡単に飛ばせる航空機ですが、その安全性についてルールを守ることが重要です。

ドローンは400フィート(約120メートル)以下の高度で楽しむこと。自分の見える範囲外で飛ばしてはいけません。

地元のドローンなどの詳しいクラブにと一緒に飛ばしてください。空港の周辺は飛行できるエリアが制限されています。また、有人飛行機の近くでドローンを飛ばしてはいけません。

飛ばす前には必ずレッスンを受けましょう。人の近くや、スタジアムなどの場所の近くでは飛ばさないでください。

飛ばす前には必ず機体の点検を行ってください。55ポンド(約25kg)以上の物を載せて飛ばしてはいけません。

あくまで趣味のためにフライトを楽しみましょう。お金を儲けたり、商業利用を行う場合は当局の認証が必要です。また、安全に注意し、無謀なフライトは行わないようにしてください。

また、この事態を受けてPhantom 2のメーカーであるDJIは機体のファームウェアを更新し、ホワイトハウスを含むワシントン中心地から半径25kmのエリアでのフライトを禁止する措置を取ることを発表しています。このエリア内では、離陸を含む一切の飛行ができなくなります。
Drone maker to add no-fly firmware to prevent future White House buzzing | Ars Technica
http://arstechnica.com/information-technology/2015/01/drone-maker-to-add-no-fly-firmware-to-prevent-future-white-house-buzzing/

手軽にフライトが楽しめるドローンだけに、安全性に対する配慮がより強く求められます。今回の一件は運良く事なきを得たといえますが、同じような機材が広く手に入る日本でも要人や機関において「対岸の火事」というわけにはいかなさそうです。
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