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相次いで報告された不審なドローンの飛行事件が「集団ヒステリー」によるものだった可能性

by Grigory_bruev

2019年11月ごろから2020年にかけて、アメリカ・コロラド州で「家や農場の上空を不審なドローンが飛行している」という多数の通報が寄せられ、警察や関係各所が捜査を行っています。テクノロジー系メディアのMotherboardは、「不審なドローンに関する通報の多くは『集団ヒステリー』によるものかもしれない」と主張しました。

Mass Panic: It’s Not Clear That Colorado’s Mystery Drones Even Exist - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/pkeb9k/mass-panic-its-not-clear-that-colorados-mystery-drones-even-exist

The Colorado Mystery Drones Weren’t Real - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/884xv3/the-colorado-mystery-drones-werent-real

2019年12月30日の夜、コロラド州モーガン郡の保安局に勤めるVince Iovinella氏は、ドローンに関する通報を受けてパトロールを開始しました。「住民は出所不明のドローンが家や農場の上空を飛んでいると報告し始めました」とIovinella氏は述べており、同じエリアに4~10台のドローンが飛行し、中には地上からわずか1.8mほどの高度で飛行するドローンの報告もあったとのこと。

実際にパトロール中にドローンと遭遇したIovinella氏や同僚の保安官によると、ドローンは白色や赤色の光を放つ点滅ライトを備えていたとのこと。また、ドローンは基本的に非常に速いスピードで動いていましたが、長時間同じ場所にホバリングし続けることもできたそうです。「非常に多くの目撃情報が同時に入ってきました。郡内で最大30台ものドローンが動いていた可能性があり、ドローンは特定の捜索パターンで動いていたように思えます」と、Iovinella氏はMotherboardに対して主張しました。

by Ricardo Gomez Angel

Iovinella氏が対応したものと同様の「不審なドローンが飛行している」という通報は、2019年11月の下旬ごろからコロラド州東部の各地で発生しています。2019年12月23日に地元紙のデンバー・ポストが「夜間に飛行する不審なドローンが法執行機関を困惑させている」と報じて以降、コロラド州のドローン目撃事件は大きな注目を集めているとのこと。

デンバー・ポストの報道によると、ドローンが目撃されるのは19時~22時ごろであり、全体で少なくとも17台のドローンが飛行していると保安官は証言しています。コロラド州・フィリップス郡のThomas Elliott保安官によると、フィリップス郡の上空を飛行するドローンは翼幅が1.8mほどある大型のものだそうです。William Myers保安官は、ドローンが大型であり数も多いことから、単なる愛好家ではなく民間企業によって飛ばされているドローンではないかと疑っています。

Elliott保安官は「ドローンに悪意があるとは思いません。ドローンは犯罪行為を示唆する行動をとっていません」とコメント。しかし、コロラド州にはドローン企業が多く存在しているものの、どの企業も一連のドローン飛行事例に関与していることを認めていません。保安官らは、ドローンがどこから飛んできているのか、誰が飛ばしているのかといった情報は不明だと述べています。

by david henrichs

そして2020年1月6日、ついに70人を超える地元・州・連邦・軍などの関係者による会合が行われ、空軍の関係者は「コロラド州シャイアン郡に拠点を置く空軍のドローン部隊は、一連のドローン騒ぎに関与していません」と証言。不審なドローンに関する騒動を終息させるため、FBIや連邦航空局を含む10~15の政府機関による「ドローンタスクフォース」が設立されました

しかし、2020年1月13日にコロラド州公安局が発表した声明では、医療用ヘリコプターとドローンの接近事例などが報告されているものの、依然としてドローンを誰が飛ばしているのか、ドローンの目的は何なのかといった詳細は明らかになっていません。また、実際にドローンが特定の法律を破ったということも確認されていないとのこと。

そんな中、Motherboardは「これらのレポートに欠けている、一見すると些細なことがあります。それは、これらのドローンが実際に存在するという確かな証拠です」と指摘。本当のところ、コロラド州の上空を飛ぶ不審なドローンは存在していないのではないかと主張しました。「だからといって、ドローンの目撃証言がデマだとか、全ての事例が見間違いだと主張するわけではありません」とMotherboardは述べていますが、多くの人々が空中に見える不審な物体をドローンと誤認してしまった可能性があると示唆しています。

ドローン開発企業のDJIが「航空機のパイロットが報告したドローンとのニアミス事例」について行った2015年の(PDFファイル)調査では、764件の報告事例のうち、実際にドローンとニアミスしていたと確認できたのはわずか27件、割合にして3.5%しかなかったと判明しています。「DJIの調査以来、ドローンが新しいUFOであるという証拠が増えてきました」とMotherboardは述べ、多発するドローン目撃事件が集団ヒステリーによるものかもしれないと述べました。

by Nejron

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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